トレーニーの多くは、仕事や学校終わりに筋トレをしている人が大半です。
以前、筋トレ後における食事が、筋肥大においては非常に大切だという記事を書きました。
しかし、上記のトレーニングを行う時間を踏まえると、
「夜、筋トレを行った後に食事をすると、太ってしまうのでは?」
という疑問が生まれてくることでしょう。
結論から言うと、夜に食事を摂ったからと言って太りやすくなるということはありません。
以下より、その理由を解説していきます。
夜に筋トレしたあと食事をしても太らない理由
理由は大きく分けて3つあります。
- そもそも「夜遅くに食事をすると太る」という通説が間違っている
- 寝ている間も基礎代謝は変わらない
- 筋トレ後はインスリン感受性が高まっている
詳しく説明します。
「夜遅くに食事をすると太る」という通説が間違っている
誰しもが一度は耳にしたことがあるであろう、
「夜寝る前に食事をすると太る」
というこの通説。
実は最新の研究では、これは迷信ではないかと言われ始めています。
もともと夜に食事をする太ると言われていたのは、時計遺伝子の1つであるBMAL1という遺伝子の存在が大きいのです。
この遺伝子は22時~2時の間に最も活性化するタンパク質の1種であり、BMAL1のはたらきには、脂肪をため込む性質があるのではと考えられてきました。
しかし、実はその逆で、BMAL1に異常をきたしたマウスでの実験において、むしろ脂肪肝や高コレステロール血症を引き起こしたという研究結果も報告されているのです。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20562852
確かにBMAL1は脂肪代謝に関連するはたらきをもっていることは間違いないのですが、それは単に脂肪を増やすだけではなく、脂肪代謝全般をコントロールするはたらきでもあるのです。
また、BMAL1は血糖値を下げる物質であるインスリンが分泌されることにより活性化されるという性質も持っています。
なおかつインスリンと同じようにmTORというタンパク質が合成される経路を活性化させるはたらきがあるという研究結果も報告されています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25981667
つまりBMAL1が活発にはたらくと、脂肪を増やすどころか筋肉を増やす事にもつながる可能性が存在するということなのです。
なので夜に適切な栄養を摂れば、太るどころかむしろ筋肉を増やす事すら可能です。
寝ている間も基礎代謝は変わらない
ここも勘違いされがちなポイントですが、寝ている間も基礎代謝量が日中の起きている間よりも低くなるということはありません。
これは2002年に行われた下記の実験においても報告されている事実です。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11896493
そもそも基礎代謝とは、人間が生命活動を送るにあたって消費される必要最低限のエネルギーのことを言います。
具体的には心臓を含む臓器を動かしたりなどする際に消費されるエネルギーが、この基礎代謝にあたります。
人間は寝ている間も冬眠しているわけではないので、活動代謝こそ発生しませんが、基礎代謝自体が極端に低下するなんていうこともないのです。
筋トレ後はインスリン感受性が高まっている
これも冒頭でご紹介した、筋トレ後の食事についての記事でも説明しています。
インスリンは、栄養を摂って血糖値が上昇すると、その血糖値を下げるために体内で分泌される物質です。
そしてインスリン感受性が高い状態というのは、体の各部位がインスリンの分泌を適切に感知して、栄養を受容できる状態のことを言います。
このインスリンの働きによって、筋肉に栄養が運ばれ、筋肥大が起こるというわけです。
逆にインスリン感受性が低下する(インスリン抵抗性が高くなるとも言う)と、体が適切に栄養を受け取らなくなり、余った栄養が脂肪として蓄えられるようになってしまうのです。
そんなインスリン感受性を高める方法の1つが、筋トレです。
筋トレを行うと3時間の間はこのインスリン感受性が高まった状態が持続されるので、この時間に摂取した栄養は脂肪になりにくいため、夜筋トレをしたあとに食事を摂ったとしても太ることなく、むしろ筋肥大効果の高まりが期待できます。
夜寝る前はどんなものを食べればいいのか
ここまでで「夜に食事をすると太る」という俗説が誤りだということは十分理解できたと思います。
では次に、具体的にはどのようなものを食べればいいのかについて説明しましょう。
ポイントは2つです。
- 脂質の多いものは控える
- ゆるやかに消化されるタンパク質を摂取する
詳しく解説していきます。
脂質の多いものは控える
夜寝る前に食べると太るということはありませんが、だからと言ってお腹が一杯になるまで食べるのはなるべく避けた方がいいです。
何故なら胃に食べ物が詰まった状態で横になって眠ると、胃の内容物と胃酸がせりあがってくるという逆流性食道炎を引き起こしてしまう可能性があるからです。
夜食事をして、朝起きた時に感じるムカムカの大半は、これが原因です。
この逆流性食道炎を避けるためにも、消化の悪い脂質は控えた方が無難です。
脂質を多く摂取すると食べた物全般の消化が悪くなり、結果としてお腹が膨れた状態で寝てしまいかねませんので。
ゆるやかに消化されるタンパク質を摂取する
さきほどと矛盾するように聞こえるかもしれませんが、ゆるやかに消化されるタンパク質を摂って眠るというやり方はおすすめです。
寝る前に食べると太る理由として考えられてきたBMAL1というタンパク質は、22時~2時までの間でもっとも活性化し、むしろタンパク質合成を高める作用があるというのはすでに解説したとおりです。
なので22時~2時までの間ずっと、タンパク質が分解されて生まれる栄養素であるアミノ酸が、血中に運ばれているという状態を作りだすことが理想です。
しかし、通常のホエイプロテインなどは摂取してから30分~45分程度で血中アミノ酸濃度がピークとなり、その後は緩やかに減少していくので、その恩恵を十二分に受けられるかというと、そうではありません。
肉類などの固形のタンパク質も、3時間前後で消化されますので、こちらも同じく不十分です。
そんな時にオススメなのが、プロテインの中でも緩やかに消化されるというカゼインプロテインです。
カゼインプロテインはホエイプロテインに比べると消化吸収が非常に緩やかという特徴を持っていますので、就寝前に摂取すれば睡眠中の後半でも、高い血中アミノ酸濃度を維持する事が出来るようになります。
もしくは、通常のホエイプロテインを牛乳に溶かして飲んでも、消化吸収を遅くすることが可能なのでこちらもぜひ試してみて下さい。
さいごに
以上が、夜筋トレしたあとに食事をしても太らない理由についての解説でした。
大手のメディアでもいまだにBMAL1遺伝子を太らせる遺伝子だと誤解して解説している記事も見られますので、常に新たな情報にアップデートするように意識していきましょう。
また、今回は詳しい食事メニューなどにについては解説しませんでしたが、トレーニーの食事管理にはマッスルデリというサービスを利用するのもオススメです。
これはトレーニー専用の栄養成分がきちんと考えられた宅配サービスになります。
詳しくは下記でも解説しているので、よければそちらもご覧ください。