「筋トレと食事を頑張っているのに、全然筋肉が大きくならない。。。」
そんなトレーニング初心者が抱えがちなお悩みに、この記事ではズバリお答えしましょう。
主に考えられる原因は2つです。
- 筋トレのやり方を間違っている
- 食事のしかたが十分ではない
筋肉が大きくなる仕組みとあわせて、詳しく解説していきます。
てっとり早く筋肉をつける食事方法について知りたい方は、下記の記事をお読みください。
筋肉が大きくなる(筋肥大する)仕組みとは
筋肉を大きくするために抑えておくべきポイントは下記の2点です。
- 筋トレによって筋肉に「メカニカルストレス」を与える
- タンパク質合成が高まった状態で栄養を摂取する
筋トレによって筋肉に「メカニカルストレス」を与える
メカニカルストレスとは、日本語になおすと機械的刺激と訳されます。
これは簡単にいうと、重たい重量を扱うことによって筋肉にかかる負荷のことを指します。
他にも筋肥大にかかわる、筋トレが引き起こす要因としては
- 筋繊維の損傷&再生
- 代謝環境
- 酸素環境
- ホルモンやインスリン様成長因子
などが挙げられます。
ただし、これらの4つの要因は狙って引き起こすことが難しいのとメカニカルストレスの方が
「筋肉に負荷をかけることによって、筋肉が強く・大きく成長する」
という非常にシンプルな理屈で分かりやすいので、
「筋トレの主な目的は、筋肉にメカニカルストレスを与えることである」
と認識してもらって構いません。
メカニカルストレスを狙って正しい筋トレを行えば、必然的にその他4つの要因も引き起こすことができますしね。
よく「筋トレすることによって筋肉に傷がつき、それが再生するときに筋肉は大きくなる」
と表現するメディアを見かけますが、それは正しくはありますが、すべてではありません。
筋トレをすると確かに筋肉は傷つきますが、その傷の大きさというのは微々たるものです。
なので筋肉を傷つけることを目的に筋トレをすると、若干方向性がずれてしまう場合があります。
特に大きな間違いが「痛みを感じる筋トレ=正しい筋トレ」という認識です。
筋肉に負荷をかけるのは大切ですが、痛みを感じるまで行う必要は全くありませんので。
タンパク質合成が高まった状態で栄養を摂取する
もちろん筋肉に負荷を与えるだけでは筋肉は大きくなりません。
筋トレを行いメカニカルストレスがかかると、体はタンパク質を合成しやすい状態になります。
筋肉の材料となるのはタンパク質なので、
「タンパク質合成が高まる=筋肉が作られやすい状態」
といえます。
しかしいくらタンパク質合成が高まっていたとしても、そのタンパク質を合成するための栄養が適切な量体内に存在していないと、いつまでたっても筋肉は作られません。
だからこそ栄養を補給するための食事が、筋肉を大きくするためにはめちゃくちゃ重要なのです。
筋肉をつけるための正しい筋トレのやり方とは
筋肉が大きくなる仕組みを理解できたところで、ここからは正しい筋トレと食事のやり方について説明していきます。
まずは筋トレの方法からです。
抑えるべきポイントは下記の3つになります。
- 重量は扱えるギリギリを使用する
- 重量は可能な限り増やしていく
- トレーニング時間は60分以内に収める
重量は扱えるギリギリを使用する
筋肉を大きくする重量と回数設定の基本は、
「最大重量(1RM)の80%×8回~10回」
となります。
なぜ最大重量の100%でなく80%なのかというと、最大重量の100パーセントというのはそもそも「ギリギリ1回だけ行える重量」のことを指しますよね。
その重量が100kgだったとして、80%だと80kgです。
では実際に、その100%の重量と80%の重量とで筋トレを行うとどうなるのでしょうか。
- 100kg×1回=合計100kg
- 80kg×8回=合計640kg
当然ですが、トレーニングのトータルボリュームは80%の重量で8回行った方が大きくなりますよね。
最近ではメカニカルストレスの大きさを考える際には、扱う重量の重さよりもトレーニングでかかる総負荷重量(トータルボリューム)の方が重要視されています。
最大重量の80%という数値は、ある程度の回数がこなせて、かつ扱いきれるギリギリの重さであることが多いので、よくトレーニングの際の指標とされるので覚えておくようにしましょう。
最初はMAXの80%の重量では8回も出来ないかもしれません。
それでも、重量を落とさずに行えるギリギリの回数をこなすようにしましょう。
セット間で重量を落としてしまうと動員される筋繊維の数が減ってしまうので(サイズの原理)、結果的に筋肥大の効果が低下してしまいます。
重量は可能な限り増やしていく
筋トレにおける考え方の中に、漸進性過負荷の原則(プログレッシブオーバーロード)というものがあります。
これは分かりやすく説明すると「少しずつ体に与える刺激を変えて行こう」という考え方になります。
同じ重量・同じ種目でトレーニングを続けていると、体はどんどんとその刺激に対して学習効果を発揮しはじめます。
つまりはより上手にその種目を行うための方法を体が覚えてくるわけです。
この学習効果はトレーニング初心者ほどはたらきやすく、同じ種目を1週間後に行うと前に行ったときにも簡単にこなすことが出来たり、トレーニング後の筋肉痛があまり起きなかったりするのはそれが理由です。
しかし、その学習効果はトレーニングを続けているとおよそ1か月程度で上限に達し始めて、次第に前よりも重たい重量を扱えなくなってきます。
そうなって初めて、今現在の自分のMAX重量というものが分かるようになってくるのです。
そうとはしらず、初期に設定した重量で延々トレーニングしたとしても、筋肉はなかなか大きくなってはくれません。
もちろん、重量をどんどんと上げていくというのは初心者のみならず、ある程度トレーニングを継続している人でも同様です。
筋肉が発達し、体がやり方を学習していくと、筋肉に与えられる刺激は相対的にどんどんと低下していきますので、常に自分が扱えるギリギリの重量を探し求めるようにしてください。
トレーニングの時間は60分以内に収める
長時間のトレーニングは百害あって一利なしです。
必ずトレーニング時間は60分以内に収めるようにしましょう。
何故ならトレーニング時間が60分を超えると、筋肉を分解する作用をもつコルチゾールというストレスホルモンの分泌が始まります。
筋トレはやればやるほど効果があると勘違いしている方もたまにいますが、決してそんなことはありません。
むしろ2時間も3時間もぶっ通しで筋トレを行うと、筋トレで得られる効果よりもコルチゾールによる悪影響の方が勝ってしまうのです。
実際、プロのラグビー選手の試合後に、体内におけるコルチゾールの分泌量を調べた研究というものがあります。
それによると、試合の12時間後でも56%ものコルチゾールの分泌量の増加がみられ、60時間が経過した後でも34%の増加が続いていました。
そのくらい、長時間の運動が体に与える悪影響というのは、非常に大きなものがあるのです。
だからこそ1回あたりのトレーニング時間は1時間以内に必ず収めるようにしてください。
それに短い時間で終わらせるように心がけた方が、より1つ1つのトレーニングに集中できるようにもなりますので。
筋肉をつけるための正しい食事のやり方とは
正しいトレーニング方法は理解したので、お次は食事についてです。
筋肉をつけるための食事のポイントは、下記の3つになります。
- 消費カロリーよりも多くのカロリーを摂取する
- タンパク質を体重1kgあたり2.8g以上は摂取する
- 糖質もきちんと摂取するようにする
消費カロリーよりも多くのカロリーを摂取する
よく「痩せながら筋肉をつけたい」という人がいますが、残念ながらかなり難しいのであきらめてください。
筋肉も脂肪と一緒で、使われる以上のカロリーを摂取することによって、体内で生成されるようになります。
そのためにはまず自分の一日に消費するカロリー量を知らなければなりません。
消費カロリーの調べ方についてはこちらの記事を参照ください。
ここで算出した消費カロリーの少なくとも+200kcal~300kcalは摂取しないと、筋肉はまずつきません。
理想を言えば、+500kcalくらいを目標にして、たくさん食べるようにしてみてください。
タンパク質を体重1kgあたり2.8g以上は摂取する
ただし、ただやみくもに大量のカロリーを摂取すればいいというわけではありません。
できるだけ脂肪をつけずに筋肉を増やしたいと考えている場合は、脂質は控えめにしたほうが良いです。
特にジャンクフードや揚げ物、お菓子などは体によくない脂質が多く使われているのでなるべく控えるようにしましょう。
そして、特に意識して摂るべきはタンパク質になります。
先ほども解説した通り、タンパク質は筋肉を作るための材料です。
この材料が不足していたら、どれだけ筋トレをしていてもいつまで経っても筋肉はつきません。
具体的な量としては、体重1kgあたり2.8gを目標に、最低でも体重1kgあたり2g以上は摂取するようにしてください。
例えば体重60kgの人なら、60×2.8=168gとなります。
168gというのはどのくらいの量かというと、鶏むね肉だとおよそ800g食べると十分な量となります。
……なかなか難易度が高いですよね。
だからこそ、筋肉をつけるためにはプロテインがおすすめなのです。
プロテインだと一回あたり30gのタンパク質を、水に溶かして液体状で摂取することができます。
それを朝昼晩と3回行うだけで、90gものタンパク質をプロテインから得る事ができるので、残りの78gだけを食べ物から摂取すればよくなります。
サラダチキンや鯖缶、定食に出てくる魚の切り身などで大体20g前後のタンパク質が含まれています。
なので3食全てできちんとタンパク質を摂るようにするだけでも、自然と必要量を摂取をすることができるようになりますので、筋肉をつけたい人は必ずプロテインを利用するようにしてください。
もちろん、一日1kg近い鶏肉を食べる事になんら抵抗のない方は、そちらの方がより効果的なのでそうして貰っても全く問題ありませんが……
「タンパク質の過剰摂取は腎臓に負担をかける」と書いてあるメディアや、そういった発言をする医師なんかもたまに見かけることがありますが、実際はどうなのでしょうか。
結論として、タンパク質を大量に摂取しても何ら問題はありません。
実際、高タンパク食が腎臓に与える影響を調べた研究においても、腎機能になんら影響は与えないという結果が出ています。
唯一問題があるとすれば、加工肉や赤身肉から大量にタンパク質を摂取した場合のみです。
それ以外の場合は、タンパク質の過剰摂取に対しては何ら気にする必要はありません。
糖質もきちんと摂取するようにする
最近の「糖質制限ブーム」の影響で、糖質を控えながら筋トレをしている人をたまに見かけます。
しかし、筋肉をつけたいと思うのなら、糖質もきちんと摂取する必要があるのです。
確かに筋肉を残しながら脂肪だけを落とす減量時には、糖質を制限するケトジェニックダイエットは非常に有効ですが、残念ながら糖質を制限しながら筋肉を大きくするのはかなり難しいと言わざるを得ません。
なぜなら筋肉を大きくするにはインスリンのはたらきが非常に重要となってくるからです。
インスリンとは、血糖値を下げ、栄養をからだ中に送りこむ働きをもったホルモンになります。
このインスリンは血糖値が上がった際、つまりは糖質を摂取してそれが分解・吸収された際に分泌されます。
逆にこのインスリンが分泌されないと、摂取したエネルギーがからだに運ばれて行かないので、体はどんどんと痩せこけていくことになるのです。
この流れを整理すると下記のようになります。
- 糖質を摂取→血糖値が上がりインスリンが分泌→筋肉に栄養が運ばれる
だからこそ、筋肉を大きくするためには糖質を摂取することが大切なのです。
糖質の役目はそれだけではありません。
糖質は、筋肉を動かすエネルギーであるATPを生成する際に使用されるグリコーゲンの元となる栄養素です。
なので糖質が不足すると筋トレのパフォーマンスも低下してしまい、結果としてさらに筋肉が成長しにくくなってしまいます。
以上の理由からも、筋肉を大きくしたい人は絶対に糖質を摂取するようにしましょう。
目安としては、摂取カロリーの半分以上は糖質から摂るようにしてください。
そもそも筋肉がつきにくい人とは
「筋肉が大きくなる、ならないには才能(遺伝)が関わってくる」
こんな言葉を一度は耳にしたことがある人も多いでしょう。
これを受けて、筋トレしても筋肉がつかない人が「自分には才能がないから」と諦めるケースも見かけますが、ちょっと待ってください。
確かに筋肉のつきやすさには遺伝が関わってきますが、それはあくまでも高いレベルにおいての話です。
筋肉と遺伝について
まず前提として、遺伝によって筋肉のつきやすさに個人差があるのは間違いありません。
とある研究によれば、骨格筋の成長には22もの遺伝子が関わっているとも言われています。
ただしそれはあくまでも、筋肉が成長するスピードと、限界値においての話です。
確かに同じトレーニング・同じ食事をしていても、めちゃくちゃ筋肉が大きくなる人もいれば、それほど筋肉がつかない人もいます。
しかし、ここまででご紹介した正しい筋トレ・正しい食事を愚直に続けていれば、限界点までは成長できる可能性を、多くの人が秘めているのは間違いありません。
ちなみに筋肉のつく限界値をはかるには、FFMI(fat free mass index)という指標を用います。
FFMIの算出式は、
FFMI=除脂肪体重〔体重-脂肪〕(kg)÷身長(cm)÷身長(cm)
となります。
このFFMIで知ることが出来るのは、筋肉の発達レベルです。
ステロイドを使用していない、いわゆるナチュラルな状態で発達させられるFFMIの限界値は25であると言われています。
ものすごく才能に恵まれている人で、26にギリギリ到達できるかどうかといった具合です。
逆にいえば、そこまで筋肉を成長させて初めて才能の有無が問題になるということなので、初心者の方は下手に気にするよりは黙々とトレーニングに打ち込むようにしてください。
ちなみにFFMIの算出式でお気づきの方もいるかもしれませんが、この式だと身長が低い人の方が高い数値が出やすいのです。
つまりナチュラルボディビルダーの場合、身長が低い人の方が体がデカく見えて有利だという事になります。
逆に身長があるのに物凄くデカく見える人は、十中八九ステロイドを使用しているのでくれぐれも素人が真似しないようにしましょう。
ステロイド使用者とナチュラルではトレーニング方法も食事方法も全く異なって来ますので。
遅筋と速筋の生まれつきの割合
筋肉の才能という点でもう一つ語られることの多いのが、この遅筋・速筋の割合についてです。
そもそも速筋・遅筋とは何なのかについて説明すると、
- 速筋=持久力に劣るが、瞬発性に優れた筋肉
- 遅筋=持久力に優れるが、瞬発性が劣る筋肉
となります。
また、それぞれの特徴として
- 速筋=肥大化しやすい
- 遅筋=肥大化しにくい
という特徴をもっているので、筋肉が大きくなる際は、主に速筋が肥大化した結果であるといえます。
ちなみに人間の速筋・遅筋の割合は生まれたときから決まっていて、その割合は後天的に変わることはないというのが、現時点においては主流の考え方です。
実際にこの主張を覆すような研究は、ヒトにおいては未だに発見されてはいません。
しかしだからといって、速筋の割合が少ない人は筋肉がつかないというわけでは決してないのです。
まず前提として、普通の筋トレをする際には遅筋はほとんど使われません。
なぜなら遅筋が使われるのは好気的環境のとき、つまりは有酸素運動をしているときだからです。
筋トレは典型的な無酸素運動なので、ほぼ速筋のみが使われます。
なので速筋の割合が少ない人というのはつまり、元々の筋肉量が少なく見えて、発揮できる筋力も低い人となります。
なので初期の段階では確かにハンディキャップとでもいえるものが存在しますが、トレーニングを続けていればその差は徐々に縮まっていくのです。
なので遅筋・速筋の生まれつきの割合というのも、ほぼ気にする必要はありません。
たまに「筋肉をつけ過ぎたくない人は筋トレで遅筋を鍛えろ」といった主張を目にしますが、これは誤った考え方です。
そもそも普通の筋トレでは遅筋は発達しません。
遅筋を発達させるには重量を持たず(負荷をかけず)に筋肉を動かす必要があります。
典型的な例がエアロビクスなどです。
ギリギリ負荷を感じる重量で高回数を行うことによって鍛えられるのは遅筋ではなく、速筋の筋持久力になります。
むしろ筋肉をつけ過ぎたくないという人は、目標とする筋肉量に達した時点で、重量を固定してしまえばそれだけで成長はストップします。
さいごに
以上が筋肉をつけるための正しい筋トレと食事の方法についての解説でした。
記事中では触れませんでしたが、もう一つ重要なのが消化機能についてです。
適切な食事をしても胃腸の機能が低い人は、その食事の栄養を吸収できないことがあります。
そんな人は水溶性食物繊維の1種であるイヌリンを毎食前に5g程度水にとかして摂取するようにしてみてください。
これを継続していると少しずつ消化機能が高まっていきます。
さらに効果を得たい方は、プロバイオティクスのサプリメントを摂取するのも良いでしょう。
プロバイオティクスとは腸内細菌のエサとなるものなので、一気に腸内環境が改善しますよ。