「カルニチンってサプリメントがダイエットに効果的って聞いたんだけど、本当かな?」
この記事ではそんな疑問にお答えします。
結論から言うとカルニチンは一部の人にはダイエット効果はあるが、積極的に摂る必要はないサプリメントです。
理由は主に3つあります。
- カルニチンは体内で必要量が生成されるから
- 過剰に摂取しても脂肪燃焼効果は促進されないから
- 摂取し過ぎることで動脈硬化を引き起こす場合もあるから
以下より詳しく解説していきます。
他にも、カルニチンの摂取量や、カルニチンによる体臭問題、そしてカルニチンが欠乏するケースにはどんな場合が考えられるのかなども合わせて説明しています。
カルニチンとは
そもそもカルニチンとはなんなのでしょうか。
以下に、厚生労働省が運営する「統合医療」情報発信サイトから引用した説明文を記載します。
カルニチンは、アミノ酸由来の物質で、身体のほぼすべての細胞に存在する。カルニチンという名前は、肉に含まれていた物質であることから、ラテン語で肉を意味する「carnus」に由来する。カルニチンは、L-カルチニン、アセチル‐L-カルチニン、プロピオニル‐L-カルチニンなど多くの物質の総称である。
「統合医療」情報発信サイトより引用
カルニチンはエネルギー産生において重要な役割を果たしている。カルニチンは長鎖脂肪酸をミトコンドリア内に運搬し、酸化(燃焼)することでエネルギーを産生している。さらにカルニチンは、生成された有毒な物質をミトコンドリアの外に運びだし、蓄積するのを防いでいる。こういった重要な役割を担っていることから、カルニチンは骨格筋や心筋に多く存在し、脂肪酸を燃料として利用している。
「統合医療」情報発信サイトより引用
もっと分かりやすく説明しましょう。
体の中に存在する体脂肪を減らすには、まずは体脂肪が脂肪酸へと分解される必要があります。
分解された脂肪酸は遊離脂肪酸となり血中に運ばれ、ミトコンドリアの中でβ酸化されることによってエネルギーとして消費され、結果として体脂肪が減少するのです。
そしてこの脂肪酸がミトコンドリアの中に運ばれる際に必要となるのがカルニチンなのです。
つまりカルニチンは脂肪が燃焼する際に必要となる物質であるということになります。
ちなみにカルニチンは、必須アミノ酸のリジンとメチオニンとビタミンCから体内で作られます。
その量は1日約100mgほどです。
カルニチンにはダイエット効果はない?
カルニチンはよく、ダイエットを効果を喧伝するサプリとして販売されていることが多いです。
しかし、それは本当に正しいのでしょうか?
実はカルニチンに明確な脂肪減少効果があるというエビデンスは存在しないのです。
カルニチンをオメガ3脂肪酸とポリフェノールと同時に摂取した際に、12週間にわたり脂肪の減少が見られたという論文は存在しますが、それもカルニチン単体ではないのです。
一般の人はカルニチンが不足する事はない
カルニチンは脂肪燃焼に関わっているのに、何故明確な脂肪減少効果が証明されていないのでしょうか。
その理由の1つとして、そもそも通常、カルニチンが不足するケースというのはほとんど存在しないからというのが考えられます。
カルニチンは体内で自然に合成されるというのは先ほどもご説明した通りです。
それ以外にも食品からもカルニチンは摂取することが出来ます。
特に肉類にはカルニチンが豊富に含まれており、この生合成される分と食事から摂取する分だけで十分必要なカルニチンの量は賄えるのです。
そしてカルニチンはあくまでも、脂肪が燃焼する際に必要となる物質に過ぎません。
カルニチン自体に脂肪の分解を促進したりする効果は存在しないのです。
このことから、カルニチン単独で摂取したとしても、一般の人はダイエット効果を感じ難いと考えられます。
加齢とともにカルニチンが減少する
では逆に、カルニチンが不足するケースとはどのような場合があるのでしょうか。
1つは遺伝子異常があり、カルニチンが上手く運ばれないケースです。
この場合は5歳前後の時点で、筋肉の痙攣、低血糖症状などが表れます。
もう1つが加齢です。
体内ではカルニチンの一部がアセチルカルニチンになるのですが、加齢とともにこのアセチルカルニチンの量は減少していくのです。
そうなると、遺伝子異常のケースと同じような症状を引き起こしたり、脂肪の燃焼効率が低下する場合もあるのです。
そのため、年配の方がカルニチンをサプリメントとして摂取する場合は、ダイエット効果を期待できることもあります。
ケトーシスの際も不足する場合がある
また、体内で糖が枯渇し、脂肪からエネルギーを作り出すというケトーシスの状態になっている際は、カルニチンが通常よりも多く使われるため、カルニチンが不足する場合もあります。
なのであえて体をケトーシスの状態に持っていくケトジェニックダイエット中は、サプリメントとしてカルニチンを摂取するのも良いでしょう。
特に筋肉量の多い人はその分カルニチンが多く必要となるので、意識して摂取しましょう。
>>正しいケトジェニックダイエットは筋トレの効果を落としません【ポイントを解説】
運動や食事制限をしないと意味がない
以上の通りカルニチンそのものにダイエット効果というのは存在しません。
大事なのは、運動や食事制限をすることで、脂肪がエネルギーとして使われやすい状況を作り出すことにあります。
なので「カルニチンを飲むだけで痩せれる」といった宣伝文句に騙さないようにし、まずは基本となるダイエットの部分から頑張ってください。
>>【PFCバランス】減量期に読むべし!筋トレしながら脂肪だけ落とす正しい食事法を徹底解説!
カルニチンの副作用について
次に、カルニチンの副作用についてもご説明します。
カルニチンは腸内細菌によって代謝されると、TMAO(トリメチルアミンNオキサイド)という物質になります。
このTMAOは「魚の臭み成分」でもあるので、カルニチンのサプリメントを常飲していると体臭が臭くなる場合があるのはこのせいです。
またTMAOには動脈硬化を引き起こす引き起こすのではという論文も存在するのですが、これはカルニチンが原因というよりは、カルニチンを代謝する腸内細菌叢の方が原因です。
むしろ心臓発作を起こした患者がカルニチンを摂取することで、死亡率が減少したなんて論文も存在しますので、現状では明確な答えが出ていないというが事実です。
おすすめのカルニチンサプリ
最後にオススメのカルニチンサプリを紹介します。
カルニチンのサプリメントにはカルニチン酒石酸塩とアセチルカルニチンの2種類が存在するのですが、オススメはアセチルカルニチンの方です。
カルニチン酒石酸塩は吸収効率が悪く、1g以上摂取すると下痢を引き起こしてしまう場合もあります。
その点アセチルカルニチンは吸収が良く、しかも血液脳関門を突破して脳にまで入ることが出来るので、摂取することによる集中力UP効果も期待出来ます。
カルニチンの摂取量の目安は1日1g~2g程度で十分です。
3g以上を常飲した場合、吐き気、嘔吐、下痢などの症状を引き起こす場合もあるので注意しましょう。
さいごに
以上がカルニチンに関する解説でした。
脂肪燃焼の際に重要な役割を果たす物質であることは間違いないのですが、過剰にその効果が記されているサプリメントが多い印象を受けます。
サプリメントはきちんと効果を理解して選ばないと、簡単に騙されてしまうので注意が必要ですね。