「筋トレをしているんだけど、なかなか疲れが取れないんだよね」
そんな筋トレする人が抱えがちのお悩みを、この記事ではばっちり解決していきます。
まず見直すべきポイントは次の3点です。
- トレーニングの頻度について
- トレーニングの時間について
- 筋トレ後に必要な栄養について
筋トレを毎日行えば、その分筋肉が発達すると勘違いしてはいませんか?
実はそれが、筋トレの疲れが取れない原因になっているかもしれませんよ。
筋肉が成長する最適な筋トレの頻度や、疲れを取るために摂取した方が良いサプリメントなんかもこの記事ではご紹介していきます。
筋トレの疲れがとれない人がやりがちな3つの失敗
まずは筋トレの疲れがとれない原因について考えて行きます。
先ほどもお伝えした通り、主に3つの原因が考えられます。
- 筋トレの頻度が多すぎる
- 筋トレの時間が長すぎる
- 栄養摂取が不十分
それぞれ詳しく見て行きましょう。
筋トレの疲れが取れない原因①:筋トレの頻度が多すぎる
「筋トレが好きで好きでたまらない」
「週6から週7でジムに通っている」
筋トレにハマり始めた、特に初心者にありがちな失敗ですね。
実は、筋トレの頻度が多すぎると筋肉にとってのマイナスな影響も増大してしまうのです。
筋肉が増える仕組みというのは複雑で、まだ完全には解明されていないのですが、基本的には「筋合成>筋分解」の状態を作り出すと、筋肉は太くなっていくと言われています。
筋トレをすると筋肉に刺激が入り、筋合成の作用が高まります。
が、実は同時に、筋肉への刺激(ストレス)が原因で、筋分解の作用も高まってしまうのです。
筋分解の作用は主に、ストレスのホルモンの一種であるコルチゾールが分泌されることによって引き起こされます。
プロのラグビー選手を対象にして行った実験によると、試合後のラグビー選手は試合後60時間が経過したのちも、コルチゾールの水準が通常時よりも34%も高い数値を記録したそうです。
さらに付け加えて言うと、筋トレと一緒にランニングなどの有酸素運動もしている人は特に注意が必要です。
実はランニングなどの有酸素運動は、筋合成の作用を高めるホルモンであるテストステロンの分泌量を低下させる作用があることが、ポルトガルで行われたこちらの研究でも分かってきています。
ですが有酸素運動においてもストレスホルモンの分泌上昇効果はもちろん存在していますので、運動すればするだけ筋肉が分解されていくなんてことにもなりかねません。
以上のことからも、
- 筋トレの頻度は週2~3日程度
- 有酸素運動はあまり頻繁には行わない
とした方がベストと言えます。
何故なら、筋トレによる筋合成の作用の高まりは最大で48時間もの間持続する可能性が示唆されているので、休んでいる間も十分筋肉は成長するからです。
筋トレの疲れが取れない原因②:筋トレの時間が長すぎる
ジムに通う時間が取れないからといって、1回あたりのトレーニング時間を長くし過ぎてはいませんか?
最もベストな筋トレ時間の長さは1時間以内だと言われています。
何故なら、1時間以上の筋トレだと先ほどご説明したコルチゾールの分泌量がどんどんと増加していくことが分かっているからです。
何度も言うように、コルチゾールの分泌は筋肥大にとってマイナスの影響しか及ぼしません。
それに1回あたりのトレーニング時間を短くした方が、ジムに通うという精神的なハードルも低くなりますし、仕事や学校終わりでも無理なく続けることが出来るようになります。
疲労面だけではなく、時短という意味でもトレーニングの時間は1時間以内に収めるようにしましょう。
筋トレの疲れが取れない原因③:栄養摂取が不十分
筋トレには当然ですが筋肉を使いますよね。
そして筋肉を使うためにはエネルギーが必要です。
ということは、エネルギーが不足している状態だと筋肉は、そして体全体のはたらきはどんどんと低下していってしまうということです。
疲れが取れない原因にはオーバーワークや睡眠不足などの理由も考えられますが、特に多いのが栄養不足。
プロテインくらいなら知っているかもしれませんが、筋トレする人には他にどのような栄養素が必要かを、すぐに答えることが出来ますか?
そしてそもそも何故プロテインが必要なのか、その理由をご存じですか?
ハードな筋トレをする人ほど、体へのダメージをケアするためにも、もっともっと栄養について詳しくなる必要があるのです。
筋トレのオーバーワークの目安とは
では次に、どのようなトレーニングをしているとオーバーワークにあたるのか、その目安となるものについて見て行きましょう。
- 関節や腱に痛みを感じる
- 風邪を引きやすくなった
- 筋肉痛が残った状態でいつも筋トレをしている
- トレーニングの頻度に比べて筋肉が成長していないと感じる
- なかなか疲れがとれない
以上が考えられます。
ただし注意が必要なのは、これはあくまでも目安であり、トレーニングの内容によっては当てはまらない場合もあります。
基本的には体(特に筋肉や関節など)に異常を感じる場合は、オーバーワークに陥っていないかを疑うようにしましょう。
改善すべきは筋トレの頻度と筋トレの負荷の内容ですね。
筋トレする人に必要な栄養素とは
次に筋トレする人が不足しがちな栄養素=必要な栄養素についてご説明します。
筋トレに必要な栄養素①:タンパク質
もっとも重要なのはタンパク質です。
タンパク質は体を構成する髪の毛や肌、爪、そして筋肉などの材料となる栄養素です。
ちなみにプロテインは日本語になおすとタンパク質となり、元々はタンパク質を効率的に摂取するために作られたサプリメントとなります。
筋トレをする事で筋合成の作用が高まるのは、先ほどもお話しした通りです。
しかしその際、筋肉を作るための材料であるタンパク質が体内で不足していたらどうなると思いますか?
答えは、筋肉を分解して作り出そうとする、です。
例えば脚の筋トレをしてタンパク質が不足していた場合、体は他の使っていない筋肉を分解してタンパク質を生み出し、それを脚の筋肉に使おうとするのです。
もちろん分解→合成の際にはロスが生じるので、結果として全体の筋肉量は減少してしまいます。
これだけでも、いかにタンパク質の摂取が重要なのかが分かります。
ちなみにプロテインに含まれているBCAAを代表とするEAAには、筋分解の作用を抑制する働きがあることも分かっています。
>>筋トレサプリはこれだけでOK!EAAの効果と飲み方、BCAAとの違いについても解説
筋トレする人に必要な栄養素②:糖質&クレアチン
筋肉を動かす際にはエネルギーが必要だというお話は先ほども少し触れましたが、そのエネルギーとはATP(アデノシン三リン酸)のことを指します。
ATPを生成するのに必要な栄養素が、糖質とクレアチンなのです。
糖質については詳しく説明する必要もないでしょう。
お米やパスタ、パン、砂糖などに多く含まれるあの成分のことですね。
もう一方の、あまり聞き慣れないクレアチンについてですが、クレアチンはアミノ酸の1種です。
体内ではクレアチンリン酸という形で貯蔵されており、必要に応じてリン基が外されクレアチンとなり、ATP-CP系という経路でATPを生成するのに使われます。
ちなみにクレアチンは体内でも自然と生成されるのですが、上記のようにエネルギーとして使われたり、毎日少しずつ尿に混じって体外にも排出されていきます。
筋トレをする人は特にこの2つのエネルギーを普通の人より多く消費するので、外部からきちんと摂取する必要があります。
ちなみにATPは骨格筋だけではなく、内臓を動かす際のエネルギーとしても使われますし、体内における様々な反応に際しても必要なエネルギーなのです。
なので体内で糖質やクレアチンが不足すると体全体の働きが低下してしまうのです。
聞きかじりの知識で糖質制限ダイエットをすると危険と言われているのは、これが理由です。
ちなみに当ブログでは糖質制限ではなく、ケトジェニックダイエットを一貫してオススメしています。
この2つの違いが分からないという人は、下記の記事をご覧ください。
>>ケトジェニックと糖質制限の違いを知っていますか?【徹底解説】
>>正しいケトジェニックダイエットは筋トレの効果を落としません【ポイントを解説】
筋トレする人に必要な栄養素③:カルシウム&マグネシウム
いわゆるミネラルと呼ばれる微量栄養素全般が重要なのですが、ここでは筋トレと疲労という観点から、カルシウムとマグネシウムをピックアップして理由を説明していきます。
筋肉を動かす(収縮させる)際には、まず脳から「動け!」という指令が下されます。
その指令は神経と神経伝達物質を通じて、筋肉の中に存在する筋小胞体という部分からカルシウムイオンを放出させます。
するとそのカルシウムイオンの放出をシグナルとして、筋肉は収縮活動を開始するのです。
しかしそのままでは筋肉がずっと収縮しっぱなしになってしまうので、元に戻すためには筋肉を弛緩させてやる必要があります。
すると今度は、筋小胞体にあるカルシウムポンプという機能がはたらき、先ほど放出したカルシウムイオンを筋小胞体の中に戻す動きをします。
するとカルシウムイオンが消失したことをきっかけとして、筋肉は収縮をやめて元の位置へと戻っていくのです。
このカルシウムイオンの材料となるのが、いうまでもなくカルシウムになります。
そしてカルシウムポンプが働く際に必要なのが、マグネシウムなのです。
カルシウムが不足すると体全体に倦怠感が表れますし、不足したカルシウムを補おうと体は骨を分解してカルシウム取り出そうとします。
マグネシウムが不足した場合は、収縮した筋肉が戻らなくなる、つまりは痙攣などの症状を引き起こす場合があります。
>>筋トレをして筋肉をつけたいのなら16種のミネラルについて学ぼう【超重要】
筋トレの疲れをとるサプリメント
疲れの原因となる栄養不足が分かったところで、では実際にそれらを解消するサプリメントにはどのようなものがあるのかを解説していきます。
疲れをとるサプリメント①:プロテイン
1つ目はプロテインです。
タンパク質の重要性は、先ほどもご説明した通りですね。
ただし、1日に必要なタンパク質を全て食べ物から摂ろうとするとなかなか難しいので、プロテインの利用をおすすめします。
優れたプロテインは必要な栄養素がバランス良く含まれていますしね。
疲れをとるサプリメント②:BCAA or EAA
プロテインの中にはBCAAをはじめとするEAAが含まれているので、プロテインを摂取していれば問題ないようにも思えますが、実はそうではありません。
筋合成作用を高め、筋分解を抑制するにはプロテインの中に含まれるBCAAの量が非常に重要なのですが、必要量をプロテインだけで摂取しようとすると1回で100g近くのプロテインを飲む必要が出てきます。
それは現実的に難しいので、トレーニングの最中はBCAAやEAAを15gほど摂取するようにしましょう。
ちなみにBCAAとEAAのどちらか一つを使えば十分であり、おすすめするのはEAAの方になります。
何故ならEAAにはBCAAが十分な量含まれていますし、筋肉の材料となるその他の6種類の必須アミノ酸も同時に摂取できるからです。
疲れをとるサプリメント③:糖質&クレアチン
糖質については、普段から食事でよく摂取している人は特に必要ありません。
ただし、トレーニング中に吸収されやすい糖質として、マルトデキストリン(粉飴)を使用するのもオススメです。
クレアチンも食品から摂取することも出来るのですが、必要量を摂るためには牛肉なら1kg以上毎日食べないといけませんので、あまり現実的ではないですね。
疲れをとるサプリメント④:マグネシウム
カルシウムとマグネシウムが重要なのは先ほども説明しましたが、カルシウムについてはプロテインにも含まれている場合がほとんどなので、プロテインを摂取している人は特にカルシウムのサプリは必要ありません。
なのでサプリメントとしては、マグネシウムを摂取するようにしましょう。
男性で一日400mg、女性で300mgをサプリメントで摂るようにすると丁度いいです。
疲れをとるサプリメント⑤:グルタミン
グルタミンも、アミノ酸の1種になります。
好中球やマクロファージ、 リンパ球などの免疫細胞はこのグルタミンをエネルギーとしていますので、グルタミンを摂取すると免疫量向上の効果が得られます。
実は筋トレを行うと体の免疫機能が低下することが知られているので、それをケアするためにもグルタミンの摂取が非常に重要です。
1日あたり10g~15g程度摂取するようにすると良いです。
疲れをとるサプリメント⑥:αリポ酸
筋トレを行うと体内で水素イオンが発生し、その影響でph値が減少してしまいます。
つまりは体が酸性に傾いていってしまうのです。
体が酸性に傾くと、体内で活性酸素という悪者のはたらきが活発化してしまうのですが、αリポ酸をはじめとする抗酸化物質を摂取することで、活性酸素のはたらきを抑制することが可能となります。
αリポ酸については別記事でも詳しく説明しておりますので、そちらもご覧ください。
>>【筋トレ&ダイエット】αリポ酸の飲み方を徹底解説します【おすすめ4選】
疲れをとるサプリメント⑦:CoQ10
CoQ10は有酸素系というATPが生成される経路の1つにおいて、主に必要とされる物質です。
他にも体内で活性酸素が増えるのを抑制してくれるはたらきがあることが知られています。
CoQ10も元々は体内で自然と生成されるのですが、20歳を境にその生成能力はどんどんと衰えていってしまうのです。
なのでサプリメントとして外部から摂取すると、体を正常に保ってくれますし、ATP合成を助けてくれるので運動能力の向上も見込めます。
疲れをとるサプリメント⑧:ビタミンC&ビタミンE
ビタミンCとビタミンEも、抗酸化物質として体内で働いてくれるビタミンの1種となります。
ビタミンCにはコラーゲンの合成作用もありますので、筋トレによる関節や腱へのダメージを軽減してくれる働きも期待できます。
それ以外にもビタミンには非常に重要な働きがいくつも存在しますので、ぜひとも下記記事で勉強してみて下さい。
>>【完全保存版】筋トレする人向け!必要なビタミン摂取量をまとめてみた【栄養素表示基準値とは違う】
さいごに
以上が筋トレの疲労が抜けない原因と、その解決策についての解説でした。
基本的には体に違和感が残る状態の時は、筋トレを休むか、もしくはマシンを使った軽めの重量で追い込まない程度の内容に抑えておくようにしましょう。
「No pain! No gain!」と考えて、痛みがあるのが正常と勘違いする人がたまにいますが、痛みは体からの危険信号です。
その信号にはきちんと応じてあげることが、結果として効率の良い筋肥大にも繋がりますよ。