VLCD(ベリーローカロリーダイエット)は1日の摂取カロリーを600kcal以下とする低カロリーダイエットで、短期間で大幅に体重を減らすことができます。
このページでは、VLCDの定義や歴史、適切な利用者、メリットとデメリット、実施方法、目的別アプローチ、栄養バランスを維持、サプリメントの摂取について詳しく解説します。
VLCDは肥満症の治療にも活用される効果的な食事療法と言われていますが、本来は病院などで医師と相談すべき方法です。このページではVLCDについて詳しく解説をしますが、実施にあたっては必ずパーソナルトレーナーや医師等と相談をするようにしてください。
VLCDとは?
VLCDの定義
VLCDは、Very Low-Calorie Diet(ベリーローカロリーダイエット)の略称で、短期間で大幅な減量を目的とした食事療法です。この方法では、1日のカロリー摂取量を通常の4分の1以下に抑えます。名古屋大学の肥満症治療センターによると、VLCDは1日600kcal以下の摂取を定義としています。この厳しい制限により、短期間で大幅な体重減少が期待できます。ただし、このダイエット方法は身体への負担が大きいので、パーソナルトレーナーや医師と相談しながら行うことをお勧めします。
参考)
VLCDの歴史
VLCDは1975年に科学者たちが極端な低カロリー食の効果を実験的に研究したことから生まれました。この実験から得られた科学的根拠により、VLCDは肥満治療の手段となりました。その後、VLCDは改良を重ね、現在では安全性と効果性のバランスの良い食事療法として認知されています。
どのような人が利用するべきか
VLCDの利用者は主に重度の肥満症患者です。具体的には、BMIが30以上、または体重が100kgを超える人が対象となります。これらの条件にあてはまる人は、従来の食事療法などでは十分な効果が得られない場合があります。VLCDは、こうした人々の健康リスクを減らし、体重を迅速に減少させる手段として考えられています。ただし持病や体の不調がある場合は、利用を避けるべきです。VLCDの開始前には、必ずパーソナルトレーナーや医師などから指導を受けましょう。
VLCDのメリットとデメリットを理解しよう
VLCDのメリット
短期間で痩せる
VLCDの特徴は、短期間で大幅な減量効果が得られることです。通常のダイエット法では数ヶ月かかるような体重減少が、VLCDでは数週間で実現可能です。例えば、開始時の体重が68kgの人が、1週間で5kg以上の減量に成功したという報告もあります。このような変化は、ダイエット効果を実感しやすく、継続のモチベーションにもなります。
食事管理の簡単さ
VLCDの食事管理は、摂取カロリーが少なく、選択肢が自然と絞られるために簡単と言われています。例えば、鶏胸肉や野菜をメインとし、調味料も塩程度に抑えるなど、シンプルな食事構成になります。このシンプルさが、ストレスなくダイエットを続けられる理由となっています。
達成感
VLCDは通常、1週間、2週間、1ヶ月といった明確な期間を設定して行います。この短期集中型のアプローチは、高いモチベーションを維持できます。短期間で大きな変化を体験できることが、VLCDの大きな魅力の一つです。
VLCDのデメリット
栄養不足のリスク
VLCDは極端な低カロリー食により、ビタミンやミネラルが不足気味になります。このため、VLCDを実施する際は、適切なサプリメントで不足する栄養素を補うことが必要です。
継続の難しさ
VLCDはその性質上、長期間の継続が難しいダイエット法です。極端な低カロリー摂取により、常に空腹感や飢餓感を感じることになります。この状態が続くと、身体的にも精神的にも大きなストレスとなり、日常生活に支障をきたす可能性があります。そのため、VLCDは短期間の実施が前提となっており、長期的な食生活の改善には別のアプローチが必要となります。
リバウンドのリスク
VLCDは大きな減量効果が見込めますが、通常の食生活に戻る際に、空腹感の開放で食べすぎてしまう危険性があり、それによりリバウンドのリスクが高まります。持続的な効果を得るためには、VLCD終了後も適切な食事管理と運動を継続することが重要です。つまり、VLCDは短期的に痩せるには有効ですが、長期的な健康維持には、バランスの取れた食生活と適度な運動の習慣化が必要となります。
VLCDのやり方を徹底解説
基本的なVLCDの方法
VLCDにはフォーミュラー食と呼ばれる食品を活用する方法があります。
フォーミュラー食は、1日600-800kcal程度に抑えた特殊な食品です。タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの必要栄養素をバランスよく含み、粉末や液体形態で提供されます。
以下はフォーミュラー食以外のVLCDの食事について、ポイントをご紹介します。
カロリー制限の目安
VLCDでの食事で最も注意するポイントは、当然ながらカロリーです。目安として、1日の総摂取カロリーを600kcal以下に抑えることが推奨されています。この600kcalという数字は、体が基礎代謝を維持しつつ、短期間で脂肪減少を促す境界線として設定されています。ただし、個人の体重や健康状態によって適切な摂取カロリーは変わるため、医師や栄養士などの指導のもと、自分に合った目標設定が重要です。
食事のタイミング
VLCDでの食事タイミングは、個人の生活リズムや好みに合わせて決めましょう。1日3回の食事が多いですが、空腹感を和らげるために5回に小分けにする方法も効果的です。小分けにすることで、血糖値の変動を抑え、空腹感を減らせます。
具体的な期間別の方法
1ヶ月のVLCD
1ヶ月のVLCDは、大幅な減量を目指す人向けです。カロリー制限と並行して軽い筋トレを行うことで、筋肉量の維持に努めることが重要です。筋肉は基礎代謝を上げられるため、減量効果を得ながら、健康的な体型を目指すことができます。
2週間のVLCD
2週間のVLCDは、短期間で効果的なダイエットを目指す人に適しています。この期間は、大きなダイエット効果を感じながら、比較的続けやすい期間設定です。
1週間のVLCD
1週間のVLCDは、VLCD初心者や短期間での減量を目指す人にとって、最も取り組みやすい期間です。この1週間で体重の変化を実感でき、長期的なダイエットへのモチベーションの維持ができます。
推奨される食材
野菜
野菜はVLCDに欠かせない食材です。低カロリーでありながら栄養豊富な野菜は、少ない摂取カロリーの中で必要な栄養素を補給するのに最適です。特に、葉物野菜や繊維質の多い野菜は、ダイエット中の空腹感を和らげる効果があります。
卵
高品質のタンパク質を含む卵は、効率よく筋肉を維持できます。また、卵は少量でも満足感を得られるため、カロリー制限下の栄養摂取に有効です。
塩
VLCDでは塩の摂取も重要です。カロリー制限下では、体内の塩分バランスが崩れやすくなります。適切な量の塩を摂取することで、ミネラルバランスを保ち、脱水や電解質のバランス崩れを防ぐことができます。
典型的なVLCDメニュー例
典型的なVLCDメニューの例として、以下のようなものが挙げられます:
朝食:プロテイン(低カロリータイプ)
昼食:鶏胸肉(100g)とサラダ(葉物野菜など)
夕食:茹でた野菜(ブロッコリー、キャベツなど)と茹で卵1個
これらのメニューは、低カロリーながら必要な栄養素を含み、空腹感を抑える効果があります。ただし、個人の特性や体調に応じて、適宜アレンジをしましょう。また、十分な水分摂取を心がけ、必要に応じて医師の指導のもとでビタミンやミネラルのサプリメントを併用することも検討してください。
VLCD中の栄養管理の重要性
VLCD中の脂肪摂取
VLCD実施中の脂肪摂取はできるだけ抑える必要があります。ただし、完全な無脂肪食は避けるべきです。必須脂肪酸は体にとって重要な栄養素であり、ホルモンバランスの維持にも関わっています。そのため良質な脂肪は摂取しましょう。例えば、鶏胸肉のような低脂肪の食材をメインとすることで、必要な脂肪を摂取できます。
脂肪摂取を抑えることで、以下のメリットが得られます:
- カロリー摂取量の大幅な削減
- 消化器系への負担減少
VLCD中の糖質制限
VLCDにおいて、糖質制限も重要です。多くのVLCDプログラムは、ほぼ糖質を摂らないケトジェニックダイエットの要素を取り入れています。
糖質制限することで、以下の効果が期待できます:
- インスリン分泌の抑制により体脂肪を減少
- ケトーシス状態の誘導による体脂肪の代謝活性化
- 空腹感の減少
ただし、完全な糖質ゼロは現実的ではありません。野菜などからの糖質は摂取することになります。重要なのは、精製糖や炭水化物を含む食品を徹底的に避けることです。
糖質制限を行う際は、以下の点に注意が必要です:
- 初期の「糖質離脱症状」への対策
- 適切な水分補給
- コンディションの確認
VLCDではサプリメントを効果的に
VLCD中に推奨されるサプリメント
EAAの効果
VLCD中におけるEAAサプリメントは、栄養バランスと体調維持の観点から重要です。EAAは体内で作り出せないアミノ酸の総称であり、タンパク質の生成に必須な栄養素です。
VLCDにおけるEAAサプリメント摂取は以下の特徴があります。
- 筋肉維持:
VLCDによる極端なカロリー制限下では、体が筋肉を分解してエネルギー源として利用する危険性があります。EAAを適切に摂取することで、この筋肉分解をできるだけ抑え、筋肉量を維持することができます。これは代謝率の低下を防ぎ、効果的なダイエットに有効です。
- コンディションの維持:
EAAは様々な生理機能に関わっているため、適切な摂取は全身の健康維持に貢献します。これにより、VLCD中の倦怠感などを減らすことができます。
- 栄養バランスの改善:
VLCDでは、タンパク質の摂取量が不足しがちです。EAAサプリメントを利用することで、少ないカロリー摂取の中でも効率よくタンパク質栄養を補うことができます。これは、栄養バランスを整え、ダイエットの質を向上させます。
- 空腹感の減少:
アミノ酸の摂取は、ある程度空腹感を抑えます。EAAサプリメントを利用することで、空腹感を和らげ、ダイエットの継続をサポートします。
EAAサプリメントの選び方と摂取方法:
- 品質:信頼できる製品を選ぶこと。
- タイミング:食事の間や運動前後に摂取すると効果的。
- 量:個人の体重や活動量に合わせた摂取が必要。通常、1日あたり5-10gが目安。
注意点:
EAAサプリメントは効果的ですが、過度な摂取は避けるべきです。また、サプリメントに頼りすぎず、可能な限り食事から栄養を摂取することが基本です。VLCD実施中は、定期的な健康チェックと医師などの指導を受けながら、EAAを含むサプリメントを適切に摂取することが重要です。
このように、EAAサプリメントはVLCD中の栄養を補給し、コンディションの維持に関わっています。しかし、あくまでもVLCDを補完するものであり、バランスの取れた食事と適切な運動が、健康的なダイエットの基本となります
まとめ
以上、VLCDについての基本、実施方法などをご紹介してきました。
冒頭でも触れましたが、VLCDは大幅なカロリー制限を行うため、必要な栄養が足りなくなってしまう可能性もあります。基本的には体重100kg以上の肥満症の方に向けた食事療法のため、一般の方はVLCDをおすすめできません。
特にトレーニングと併用する場合は注意が必要です。
VLCDに興味のある方はパーソナルトレーナーや医師などとしっかり相談しましょう。