「脂質ってカロリーも多いし、ダイエットにはよくないものなんでしょ?」
脂質に対してこのようなイメージを持たれている方は非常に多いですよね。
確かに脂質はカロリー量も多いですし、消化吸収される速度も遅いので、過度な摂取はNGです。
しかし、だからといって脂質=悪という決めつけをするのは大きな間違いです。
脂質の持つ役割としては、
- 細胞膜の材料となる
- ホルモンの材料
- エネルギー源として使われる
といったように、体作りに欠かせない非常に重要な役割を果たしているのです。
なので今回は、
- 脂質の役割と種類
- 脂質の正しい摂り方
について、詳しく解説していきます。
筋トレをする人も、ダイエットを頑張りたい人も、どちらも必見です。
脂質のもつ役割
まずは脂質の役割について説明しましょう。
細胞膜の材料となる
人間の体は無数の細胞が集まって出来ている事は、皆さんご存じのことでしょう。
そしてその細胞一つ一つには表面に、細胞膜という膜が存在しているのです。
この細胞膜の役割というのは、簡単にいうと細胞に入るものの選別です。
細胞内に入れた方がいい物質だけ透過させて、不要な物質ははじくという役割ですね。
実はこの細胞膜の材料となるのが脂質だったりします。
ホルモンの材料
脂質が材料となるのは細胞膜だけではありません。
人間の体の中で様々な働きをしているホルモンの材料もまた、脂質なのです。
筋トレする人に関わるホルモンでいうと、男性ホルモンや女性ホルモン、副腎皮質ホルモンや成長ホルモンなんかも全て脂質が材料です。
なので脂質を極端に制限した食生活を送っていると、体内のホルモンバランスが低下してしまうのです。
そうなってくると当然テストステロン値も低下してしまうので、筋肉が作られにくい体へと変化していっていまうということにもなります。
エネルギー源として使われる
脂質の一般的な使い道としては、こちらが真っ先に思い浮かぶ人も多いと思います。
体に脂肪が蓄えられるのは飢餓状態に陥った際に備えてだ、というやつですね。
なので過剰に摂取した栄養は、体内で体脂肪として蓄えられるのですが、それだけではありません。
体内では通常、糖が分解されてエネルギーとして利用されるのですが、その糖が枯渇した際は脂質がエネルギーとして替わりに使用されるのです。
この仕組みを利用したのが糖質制限(ケトジェニック)ダイエットになります。
ケトジェニックダイエットについてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、そちらもご覧ください。
>>正しいケトジェニックダイエットは筋トレの効果を落としません【ポイントを解説】
脂質の種類と摂り方
お次は脂質の種類についてです。
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
脂質は大きく分けると2種類に分けられます。
それが飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸です。
脂肪酸は炭素原子が水素原子と鎖状でつながった形で形成されています。
そのうち、すべての炭素原子が結合しているものを飽和脂肪酸、その一部ないしは複数個所に結合していない炭素原子が存在しているものが不飽和脂肪酸となります。
簡単に特徴を説明すると、
- 飽和脂肪酸:酸化しにくく、形状が安定している(固形)
- 不飽和脂肪酸:酸化しやすく、形状が不安定(液体)
となります。
動物性の脂質の多くは飽和脂肪酸であり、昔は「動物性脂質=体に悪い」という風潮も強かったのですが、飽和脂肪酸の酸化しにくいという特徴がピックアップされるようになってからは、むしろ動物性脂質の方が体に良いのではないかという考え方も広まってきています。
オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は、不飽和脂肪酸の1つです。
おもに青魚やえごまなどに多く含まれています。
とくにオメガ3脂肪酸の中でも、EPA・DHAが体に与える影響というのは非常に大きなものがあります。
EPAには筋肉の分解を抑えるはたらきがあるとされ、しかもEPAをロイシン、アルギニン、メチオニンというアミノ酸と一緒に摂取することで、タンパク質合成が倍近くも高まるという研究も報告されているのです。
ほかにもEPA・DHAはインスリン感受性を高めて、摂取した栄養がきちんと体に運ばれる機能を高める効果もありますので、筋トレする人には絶対に欠かせない脂質の1つです。
サプリメントとして摂取する際には、1日2000mg~2500mgの量を摂取するようにしましょう。
もちろん、普段の食事でよく魚を食べるという人はそれでも構いません。
オメガ9脂肪酸(オレイン酸)
オメガ9脂肪酸(オレイン酸)の代表は、なんといってもオリーブオイルでしょう。
オリーブオイルは極めて体に良い、健康的な脂質の1つです。
ただし、ピュアオリーブオイルではなく、エクストラバージンオリーブオイルに限りますが。
日本で手軽に買えるものは質の良くないオリーブオイルが多いので、小瓶に入った少しお高めのものの方がおすすめです。
個人的には下記のラウデミオオリーブオイルがおすすめです。
値段は張りますが、めちゃくちゃ風味がよくてサラダにもそのままかけられるのはもちろん、
料理に使うとひと味もふた味も違った出来上がりとなります。
そんなオリーブオイルのもつはたらきとしては、GLP-1というホルモンを分泌させる作用があることが知られています。
GLP-1はインスリンという血糖値を下げて体に栄養を送る機能をもつホルモンを分泌させる作用をもっているので、オリーブオイルもまた、太りにくい脂質の1つと言えます。
他にも、繰り返し使用しても劣化が少なかったり、腎臓病のリスクを下げたり、老化を抑えたりと健康面で非常に多岐にわたる好影響を及ぼしますので、ぜひとも普段使いの脂はオリーブオイルに変えてみて下さい。
共役リノール酸(CLA)
リノール酸とは、不飽和脂肪酸の1つであるオメガ6脂肪酸のことをいいます。
ごま油や、大豆、くるみ、コーン油などに特に豊富に含まれています。
しかしその中でも注目すべきなのがこの、共役リノール酸(CLA)です。
リノール酸のなかでも構造が少し異なる(トランス型)という特徴を持っているのですが、おどろくべきはその作用です。
箇条書きで説明すると、下記となります。
- 脂肪の生成を抑制する
- 脂肪の燃焼を促進する
- インスリン感受性を高める
- テストステロン値を上昇させる
- 抗酸化作用をもつ
このように、いいことだらけの最強の脂質が、共役リノール酸なのです。
共役リノール酸は食べ物ではなく、サプリメントから主に摂取するようにしましょう。
目安としては、一日あたり1000mg~3000mg。
運動前と運動後に1000mgずつ分けて飲むと良いです。
中鎖脂肪酸(MCT)
脂質は、炭素原子が水素原子と鎖状でつながった形で形成されていると最初に説明しました。
つまり中鎖脂肪酸(MCT)とは、その炭素原子と水素原子の長さが中くらいの脂肪酸のことを指すのです。
ちなみにこれまで紹介してきた脂質のほとんどは、長鎖脂肪酸に分類されます。
中鎖脂肪酸の特徴は、エネルギーとして使用されやすいという点です。
つながりが短い分、消化吸収されるスピードが通常の脂質よりも早いということです。
ただし、消化が素早い分、一度に大量に摂取すると下痢を引き起こしてしまう場合があるので要注意です。
中鎖脂肪酸はココナッツオイルに豊富に含まれていますが、その含有量は多くて7割程度。
なのでこちらもサプリメントとして、1回あたり5gずつを摂取するようにしてください。
正しい脂質の摂り方
脂質の種類と性質について理解したところで、ここからはより具体的な脂質の摂取方法を解説します。
脂質のカロリーと必要摂取量
脂質はカロリーをもつ三大栄養素のうちの1つであり1gあたり9kcalが存在しています。
タンパク質と糖質が、1gあたり4kcalであるのに対して倍以上のカロリーがあるので、これが脂質が太るとされている理由にもなるのです。
しかしいくら高カロリーだからといって、冒頭でもお話ししたとおり、体内において脂質が果たす役割というものが存在しているので、摂取カロリーの20%~30%は脂質から摂取するようにしましょう。
減量中でも、2割は脂質からカロリーを摂るようにしてください。
具体的な脂質の摂り方
まず絶対に避けるべきなのが、トランス脂肪酸という人工的な脂質です。
主にマーガリンやショートニングなどに使われており、非常に安価という特徴があります。
しかし、体に与える影響でいうと、百害あって一利なしなので、正直減量中以外でも避けるようにした方が良いです。
ではどのような脂質がいいのかというと、食品でいうと、魚やナッツ、卵やアボカドなどは非常に良質な脂が豊富に含まれているので、これらをメインに据えて下さい。
また、調理に使用する油はオリーブオイル一択です。
その上で、フィッシュオイルやCLAのサプリメントからも脂質を補給するようにしましょう。
より具体的なダイエット方法を知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
>>【PFCバランス】減量期に読むべし!筋トレしながら脂肪だけ落とす正しい食事法を徹底解説!
さいごに
脂質を摂ると太るというイメージが強いと思いますが、実はそれは正しくはありません。
ケトジェニックダイエットのように、糖質をいっさい摂らないようにすると、むしろ体重はどんどんと減少していきます。
体脂肪が増加するのは、糖質+脂質を摂取し、オーバーカロリー状態となることで引き起こされます。
むしろフィッシュオイルやCLAなどは、脂肪の燃焼を助けるはたらきすら備えているのですから。
何故人は太るのか、そこを正しくを理解しておかないと、とんでもなダイエット方法に騙される原因にもなりますので、ぜひ当ブログの記事などを参考にして、自身にあった食生活を考えていきましょう。