「筋トレ後30分以内にプロテインを飲むのがベスト」
これはトレーニーの間では昔からよく言われてきた言葉です。
しかしいわゆるこのゴールデンタイム、果たして本当に存在するものなのでしょうか?
結論から言いましょう。
このゴールデンタイムという考え方は誤りなのです。
というわけで今回は、何故ゴールデンタイムが間違っているのかと、そして最も効果的なプロテインの摂取タイミングはいつなのかついて解説していきます。
①ゴールデンタイムのウソ・ホントが分かる
②筋トレに効果的なプロテインの摂取方法が分かる
筋トレ後のゴールデンタイムについて
まずはゴールデンタイムがそもそも何なのかについて説明していきます。
人間の体の中では絶えず、筋タンパク質の合成と分解とが同時に起こっています。
筋肉の増減に関わる仕組みというのは、極めて単純化して考えると、この合成作用が分解作用より高ければ筋肉が増えて、逆に分解作用の方が高ければ筋肉が減るという仕組みになります。
それでは筋トレを行うと、そんな筋タンパク質の合成と分解に対してはどのような影響を及ぼすのでしょうか。
実は適切な内容の筋トレを行うと、筋合成作用が高まって、なおかつ筋分解作用を抑制する効果が筋トレにはあると言われています。
そしてその筋合成作用のピークはトレーニング後30分以内に存在しており、その状態で「プロテイン=栄養」を摂取する事によって、最大限の筋合成効果を得ようというのがゴールデンタイムの考え方なのです。
ゴールデンタイムは嘘なの?
ゴールデンタイムタイムに関する研究の中には「筋トレ後45分以内にタンパク質と糖質を摂取する事によって筋タンパク質合成が促進された」という研究が存在します。
参考:Nutrient Timing: The Means to Improved Exercise Performance, Recovery, and Training Adaptation
ではこの研究結果も嘘なのでしょうか?
いえ、この結果は紛れもない事実です。
確かにトレーニング後は、体は筋肉を作り出すための材料(栄養)を欲している状態ではあります。
しかし問題なのは、果たして筋合成作用のピークはトレーニング直後だけに限った話なのかどうかという点です。
ゴールデンタイムは筋トレ後24時間!?
ずばりこちらも結論から。
最新の研究だとトレーニング後24時間は筋タンパク質合成感度の高まりは持続すると言われています(国際スポーツ栄養学会 2017)。
確かにトレーニング後1~3時間が最もタンパク質合成が増加するタイミングなのは間違いないのですが、24時間も継続する事を考えると、
「あまりトレーニング後のタイミングに固執する必要はないのでは?」
というのが最近の考え方になります。
ゴールデンタイムを気にする必要はない
また違う研究によると、プロテイン摂取のタイミングによって筋タンパク質合成に差異はそこまで見られないというものも研究結果も存在しています。
これらの事から言えるのは「わざわざゴールデンタイム(トレ後30分以内)にこだわらず、トータルできちんと栄養を摂る事に気を付ける方が大事」という事です。
なのでトレーニング後にプロテインを飲むのもOKだし、トレーニング後にプロテインを飲まないのもそれはそれでOKだと思います。
共通して言えるのは、運動したのにきちんと栄養摂取をしないのはもったいないという事だけです。
プロテインの最も効果的な摂取タイミング
では、ゴールデンタイム以外で筋トレに関するプロテインの最も効果的な摂取タイミングとはいったいいつなのでしょうか。
実はトレーニング後ではなく、トレーニングの60分前にプロテインを摂取するのが最もベストなタイミングであると最近の研究では言われています。
プロテインを摂取する事で血中アミノ酸濃度は高まっていきますが、それがピークとなるのは摂取してから60分後になります。
なのでトレーニング1時間前にプロテインを摂取する事でアミノ酸濃度が高まり、筋タンパク質合成が促進された状態でトレーニングする事が出来るので、結果的に効率よく筋肥大するという訳です。
逆にトレーニングに栄養が枯渇した状態で臨むと、筋タンパク質の分解が合成よりも活発な状態(カタボリック)になるので、逆に筋肉が減ってしまうなんて事にもなりかねません。
さいごに
以上がゴールデンタイムに関する解説です。
トレーニング前後の栄養摂取も大切ですが、トレーニングしながらの栄養補給にも気を配る必要があります。
特にEAAトレーニング中の筋タンパク質合成の促進にもかかわってくるので、積極的に摂取するようにしましょう。