「今日は筋肉痛がするけど、筋トレはした方が良いのかな、、、?」
定期的なトレーニングを行っている人なら誰もが一度は抱えるこの悩み。
結論からいうと、筋肉痛がするときは筋トレをすべきではありません。
むしろ非効率です。
今回は筋肉痛が何故起こるのかを、筋肉が大きくなる仕組みと共に解説していきます。
特に多くの人(トレーナーなどを含む)は、筋肉痛と超回復の仕組みを誤解しています。
今回紹介するのが、現段階での筋肉痛に関する最新の考え方になりますので、ぜひ見て行ってください。
筋肉痛があるときはトレーニングを休んだ方が良い理由
理由は主に2つあります。
- 痛みがあるとトレーニングのパフォーマンスが低下するから
- 筋肉痛がある状態でトレーニングをしても、筋肥大にとっては非効率だから
それぞれについて詳しく解説していきます。
理由①:パフォーマンスが低下するから
これは分かりやすいですよね。
痛みを抱えながら筋トレを行っても、普段通りの力を発揮しながらトレーニングを行うことは難しいです。
特に大きな部位(背中や胸など)は痛みが広範囲にわたる場合も多いので、それが顕著です。
普段よりも重い重量が扱えなかったり、普段よりも十分な範囲を動かせなかったり。
そんな状態で筋トレを行っても、何ら意味はありません。
1回、1回のトレーニングで常に全力を出すことが、筋肉を大きくするにはなによりも重要です。
理由②:筋肥大にとって非効率だから
実は筋トレが筋肉に与える影響というのは、トレーニング後から48時間もの間持続します。
そして筋肉痛が残る期間というのは2~3日という場合がほとんどです。
つまり筋肉痛がある状態で筋トレを行うというのは、まだ前回のトレーニングの影響が残っているのに実施している、つまりはめちゃくちゃに非効率な行為になるのです。
それどころか理由①でも述べたように、100%の刺激を与える事が出来なくなっているために、トレーニングの効果はどんどん落ちて行きます。
これほど非効率で無駄なことはありませんよね。
筋肉痛にならない時はどうすればいいのか
ではもう一つの筋肉痛とトレーニングの関係に関する疑問、
「筋トレをした時に筋肉痛にならないんだけど、どうすればいいの?」
こちらについても解説しましょう。
結論:トレーニングでしっかり追い込めているのなら問題なし
筋肉痛は、トレーニングの効果を確かめる指標に1つにしか過ぎません。
なので「筋肉痛にならない=トレーニングの効果がない」とは限りません。
ベンチプレスやスクワットを行っていて、
「もうこれ以上は無理、、、」
というところまできちんと追い込めているのなら、それほど心配する必要はないでしょう。
体か刺激になれて、痛みが取れるのが早くなっている可能性が高いので。
ただし、ネットなどで調べたトレーニングをそのまま完コピして行っている場合は要注意です。
もしかしたらそのトレーニングの効果が落ちてきている場合もあります。
その際は、いつもよりも重い重量や、多い回数、はたまた、全く違うトレーニング種目にチャレンジしてみることをオススメします。
筋肉痛になって超回復することで筋肉が大きくなるという誤解
実は少し前までは、
「筋トレをして筋繊維が断裂し、それが原因となって筋肉痛が引き起こされる」
「筋繊維が断裂状態から超回復することで、筋繊維が太くなり、筋肉が大きくなる」
という間違った説が信じられてきました。
しかし現在の考え方としては、
- 筋肉痛の原因は、体のストレスに対する応答反応である
- 筋トレを行う事で体内の筋合成作用が活発化し、筋肉が肥大する
という考え方が主流になってきています。
この点を勘違いしているトレーナーやメディアが今だに数多く存在するのが、残念ながら現実です。
以下より詳しく解説していきます。
筋肉痛の原因はストレスに対する応答反応である
厳密には、これはまだ科学的に確定したわけではなく「そうではないか?」と言われている段階の説です。
筋肉痛の原因として、昔は乳酸がたまるからだとか、筋肉が断裂するからだとか、いろいろな説が唱えられてきましたが、現在はこちらのストレスに対する応答反応というのが主な考え方になります。
筋トレを行うと、筋肉は当然ですが普段とは違う環境の中に晒されます。
具体的にはクレアチンリン酸、ATP(アデノシン三リン酸)、カルシウムイオンの減少などなど、他にも様々あります。
これらの普段とは違う環境に対して体がストレスを感じ取った際に、同時に痛みを生じさせる発痛物質が生まれ、それが原因として筋肉痛が引き起こされるというわけです。
そのストレスの原因の一つに、筋繊維の損傷というものも含まれる場合もあるかもしれませんが、主原因ではないということですね。
ちなみに筋肉が大きくなるメカニズムとして「超回復」という言葉を聞いたことがある人も多いと思いますが、実はこれは間違いなのです。
超回復は本来「グリコーゲンがいつもよりも筋肉に引き込まれて、筋肉が一時的に大きく見える現象」のことを指します。
筋肥大とは全く別物なのです。
詳しくは下記のカーボローディングの記事で解説しています。
筋トレを行う事で体内の筋合成作用が活発化し、筋肉は大きくなる
筋肉が大きくなるメカニズムというのは、実はとても単純です。
体内の筋タンパク質のバランスを「筋合成作用>筋分解作用」にすればいいのです。
体の中では、筋タンパク質を増やす筋合成作用と、筋タンパク質を減らす筋分解作用の両方が常に発生しています。
そして、筋合成作用と筋分解作用のバランスがどちらかに傾いたときに、筋肉が増えたり減ったりするというわけです。
そしてまさに筋トレには、この筋合成作用を高めるはたらきがあるのです。
そしてその持続時間というのが、先ほどもお話しした通り48時間であると言われています。
従来の考え方だと筋肉痛が発生して「超回復」している期間は安静にしておく必要があると言われていましたが、それだけでは不十分です。
筋合成作用が高まったとしても、筋肉の材料となる栄養が不足していては意味がありません。
このあたりの考え方は筋トレ後のゴールデンタイムについての記事で解説してますので、興味がある方はそちらをご覧ください。
筋肉痛を早く治すにはどうすればいいのかについて
では筋肉痛のメカニズムと効果について理解したところで、「筋肉痛を早く治す方法」について、最後に解説します。
その方法は主に2つです。
- 温めるなどして、血行を良くする
- トレーニング後にストレッチを行う
順番に見て行きます。
筋肉痛を早く治す方法①:血行を良くする
筋肉痛が筋繊維の断裂によって引き起こされると勘違いしている古い考えのトレーナーは、筋肉痛を炎症の1つとして捉えています。
なので、
「アイシングや湿布をしておけば早く治るよ」
と言いますが、それは大きな間違いです。
先ほども説明したように、筋肉痛はストレスに対する応答反応よって、発痛物質がとどまることによって引き起こされます。
なのでその物質を取り除いてやれば痛みは減少するということです。
そのためにはむしろ血行を良くするために患部を温めてあげる事が大切です。
他にも欠陥を拡張して血流を促進させるNO(一酸化窒素)系サプリメントのシトルリンなどを摂取するのもオススメです。
こちらはトレーニング前に摂取する事で、トレーニングのパフォーマンス自体を向上させる効果も持っていますので、いろいろな場面で無駄になりませんよ。
筋肉痛を早く治す方法②:トレーニング後にストレッチを行う
筋トレ前のストレッチは、むしろケガのリスクを高めてしまったり、パフォーマンスの低下にもつながるので、あまり推奨されていません。
しかしながらトレーニング後はむしろストレッチを行った方がいいのです。
何故ならストレッチを行うことで発痛物質を拡散させて、筋肉痛からの回復を早める効果が期待できるからです。
ストレッチをすることで乳酸が溜まらなくなり、筋肉痛を和らげてくれるという以前までの考え方は、あながち全て間違いというわけではなかったという事ですね。
さいごに
以上が筋肉痛と筋トレに関する解説になります。
正しい知識を持っていないと、筋トレの効率が悪くなってしまう良い例だったのではないでしょうか?
筋肉痛が残っている時に無理やりトレーニングを行っても、なんら良い事はありません。
常に万全な状態で100%の力を出し切ることが、筋肥大においてはなりより重要なので、しっかりと休養を取って回復した状態で、毎回のトレーニングに臨むようにしましょう。