突然ですが、皆さんはケトジェニックダイエットと言うものをご存じでしょうか?
実はこのダイエット法、めちゃくちゃ効果的なんです。
痩せるのはもちろんなのですが他にも様々な利点が存在しており、ぜひ多くの人に取り組んで頂きたいのですが問題が1つだけあります。
それは、正しい方法を理解している人が少ない事です。
有名な糖質制限ダイエットとこのケトジェニックダイエットを混同している人も多く、それが様々な誤解を招く原因ともなっております。
そこで今回はそんなケトジェニックダイエットの正しいやり方についてご説明してまいります。
①ケトジェニックダイエットの正しいやり方が分かる
②ケトジェニックダイエットと糖質制限の違いが知れる
③ケトジェニックダイエットのメリット・デメリットを理解できる
④ケトジェニックダイエットに必要なものが分かる
ケトジェニックダイエットってそもそも何?
では、そもそもケトジェニックダイエットとは何なのかについて説明します。
特に注目すべきは、糖質制限との違いです。
糖質制限とケトジェニックダイエットは違う
最近はもはや一般的なダイエット法として定着した感のある糖質制限ダイエット。
このダイエット方法は、一日に摂取する糖質(炭水化物)の量を制限するといったものになります。
ですが、糖質制限においてはその制限量を80g~100gまでとしていることが多く、最低限の糖質は摂取する事が出来るのがほとんどです。
しかし、ケトジェニックダイエットにおいてはさらに低く、50g以下しか摂ってはならず、導入期においては20g~30g程度と限りなくゼロに近づける必要があるのです。
この点からケトジェニックダイエットはスーパー糖質制限といった表現をされている事もあります。
ケトン体とは
次に説明するのが、ケトジェニックダイエットという名称の元にもなっているケトン体についてです。
ケトン体とは「βヒドロキシ酪酸」「アセト酢酸」「アセトン」この3つの総称であり、簡単にいうと脂肪を分解して作られるエネルギー源のことを言います。
通常人間の体はエネルギーとしてグルコース、つまりは糖由来のエネルギーを使用しています。
しかし体に入ってくる糖質の量を制限すると、体内に貯蓄されていたグリコーゲンが枯渇し、体が脂肪を分解してエネルギーを生み出そうとするようになります。
この状態の事をケトーシスといい、体をケトーシス化させることをケトジェニックと呼びます。
このケトン体には独特の臭いがあるため、それが糖質制限ダイエットをした際の悪臭に繋がったりもします。
それと、脂肪由来のエネルギーということで、なんだかどろどろしたものをイメージされる方も多いかもしれませんが、実はケトン体は水溶性になります。
なので血流を妨げる事もありませんし、水溶性になることによって脳のエネルギー源としても活用されるようになるのです。
脂質を多く取るダイエット方法
そして多くの人が勘違いしている点がこれ。
ケトジェニックは脂質を意図して多く摂る必要のあるダイエット方法になります。
糖質を制限するだけでは不十分です。
日常生活ではまず摂取しないであろうくらいの量を摂る必要があり、体重にもよりけりですが、少なくとも100g以上、多い人なら200g弱を摂取しなければならないのです。
先ほども述べたようにケトジェニックダイエットとは、エネルギー源を糖質から脂質に変えるダイエット方法です。
糖質を制限した分脂質を摂取しないと体がエネルギー不足に陥りますし、当然筋肉も減少していきますので要注意です。
ケトジェニックのメリット
さて、お次はケトジェニックダイエットのメリットについて見て行きましょう。
メリット①:筋肉が分解されない(カタボリックにならない)
多くの人が誤解しがちで実は私も最初はそうだったのですが、ケトジェニックダイエットでは筋肉の分解、つまりはカタボリック状態を防ぐことが出来るのです。
通常の糖質制限ダイエットでは、不足したエネルギーを補うために糖新生を行うようになります。
糖新生は糖原生アミノ酸、つまりはタンパク質を分解することによってエネルギーを生成しようする働きのことを言います。
なので糖質制限では大量にたんぱく質を摂取しないと、体内にあるたんぱく質=筋肉も減少してしまうといわれているので、多くのトレーニーたちは糖質制限ダイエットを敬遠する傾向がありました。
しかし、体をきちんとケトーシス化することが出来れば、完全にエネルギー源を糖質から脂質に切り替えてくれるので、カタボリックを防ぐことが出来るようになるのです。
アミノ酸にはケト原生アミノ酸と糖原生アミノ酸の2種類が存在しており、ケトジェニック導入期ではこの糖原生アミノ酸の摂取量が多いせいで上手くケトーシスにならない事があります。
その場合はケト原生アミノ酸である「リジン」「ロイシン」を多く摂取する事でケトーシス化を促す事が出来ます。
具体的には通常の食事で摂取するたんぱく質の一部をBCAAやEAAに置き換えるという方法です。
なかなかケトーシスにならない人はこの方法を試してみてください。
メリット②:空腹感を感じない
そしてダイエット中最大のメリットは、空腹感を感じにくくなるという事です。
脂質を多く摂取する事によって常に満腹感を覚えるようになりますので、いらいらしたり他のものを食べたくなるといった事が少なくなります。
それにタンパク質、つまりは肉類はほぼほぼ食べ放題なので、その点もストレスなくダイエット出来る利点の一つでしょう。
メリット③:肌荒れしなくなる
これも脂質を多く摂るが故のメリットですね。
脂質を摂取する量を制限すると、肌がカサカサになってしまったり、髪がぼさぼさの状態になってしまう事があります。
ですがケトジェニック中はそんなことはありません。
他にも、ケトン体が生成されることによって心臓疾患のリスクを減らしたり、アレルギーを抑えたり、がんの予防にもなると言われています。
まさに、良い事づくめのダイエットですね。
ケトジェニックのデメリット
では次にあえてケトジェニックのデメリットについて見て行きましょう。
大きく分けて下記の3点です。
- 食費がかかる
- 食べるのがきつい
- 外食が出来ない
基本的に安く買えるものは糖質で出来ています。
米、パン、パスタなどなど……
それと食べるのが好きな人なら別ですが、小食の人はむしろ肉や脂を大量に摂らないといけないので、それが逆にきつかったりもします。
あとは、外食の際に食べれるものがほとんどなくなってしまう事です。
きちんと腰を据えて食べれるのなら別ですが、例えばちょっとした軽食(おにぎりやサンドイッチ)などはほとんどに糖質が使われていますので、きちんと食べるものは選ばなくてはなりません。
筋トレのパフォーマンスが低下する?
ケトジェニック中に注目すべきなのが、筋トレとの関係性です。
よくケトジェニック中では筋トレのパフォーマンスが低下すると言われているのですが、果たしてそれは正しいのでしょうか。
クレアチンリン酸系と解糖系
筋肉は運動する際、ATP(アデノシン三リン酸)をそのエネルギー源として使用します。
しかしこのATPはわずか1秒程度の収縮運動で枯渇してしまうために、運動中はATPの再合成が短期間で常に行われているのです。
筋トレ中のATPの再合成においては、クレアチンリン酸系と解糖系という2つの仕組みが使われます。
解糖系は読んで字のごとく、筋肉にあるグリコーゲン、つまりは糖質由来のエネルギーを分解して再合成する仕組みとなります。
それに対してクレアチンリン酸系は、同じく筋肉に存在するクレアチンリン酸を分解してクレアチンとリン酸を生み出し、その際に発生するエネルギーを利用してATPを再合成する仕組みのことを言います。
なので体に糖質が不足すると、この解糖系の仕組みがうまく働かなくなるため、筋肉のエネルギーが不足=筋トレのパフォーマンスが低下するという考え方に繋がってくるのです。
筋トレの内容を工夫する
しかし、最近の研究では糖質を制限する事によるパフォーマンスの低下は「トレーニングの条件によっては変わってくる可能性がある」とも言われています。
一般的に筋トレ中は常に解糖系の仕組みが利用されていると考えられていたのですが、実はそれは「長時間にわたるトレーニングの場合に限って」なのかもしれないというのです。
具体的には中強度(最大筋力の50~70%)高負荷(10セット以上)で50分以上かけてトレーニングをした場合になります。
逆に言うと高強度(最大筋力の85%以上)低負荷(8セット未満)で40分以内のトレーニングをした場合は、クレアチンリン酸系の仕組みが優先的に使われることになります。
なのでケトジェニック中は扱えるぎりぎりの重量で短時間・小Repでトレーニング内容を組めば、パフォーマンスを低下させる事なく筋トレを行う事が出来るようになるのです。
この研究結果はあくまで仮説の段階です。
感じ方には個人差があると思いますので注意してください。
ケトジェニックダイエットのやり方
ここからは実践編です。
どのようにケトジェニックを行えばいいのか、その方法について解説していきます。
糖質は限りなく0に近づける
基本的にケトジェニック中は糖質を摂る必要がなくなります。
なので糖質は可能な限り0に近づけるようにした方が良いでしょう。
体がケトーシス化する前は特に顕著なので、最初の1週間程度は人によってはきついかもしれません。
ケトジェニック中のPFCバランス
ケトジェニック中は総カロリーを制限するのではなく、一日に摂取するカロリーのPFCバランスを見て行きます。
PFCとは「プロテイン」「ファット」「カーボ」つまり「タンパク質」「脂質」「糖質」の事を言います。
具体的には摂取する糖質は12%以下にまで抑え、50g以上は摂取しないようにします。
そして60%以上は脂質からカロリーを摂るようにしましょう。
量で言うと150gは意識して摂るようにしてください。
その残りの28%がたんぱく質から摂取する形となります。
具体的な例を出して見て行きましょうか。
(例)
総摂取カロリーが2000kcalの場合
糖質:2000kcal×12%=240kcal,240kcal÷4kcal=60g → 50gとして計算
脂質:2000kcal×60%=1200kcal,1200kcal÷9kcal=133g → 150gとして計算
たんぱく質:2000kcal×28%=560kcal,560kcal÷4kcal=140g
となります。
脂質を大量に摂取する
例でも分かる通り、普通に生活をしていて150g以上の脂質を摂取する事はなかなかありません。
よほどお菓子や脂ものを毎日大量に摂取するのなら別ですが。
その為、ケトジェニック中は食事以外からも脂質を摂る必要が出てくるのですが、その際に使用した方が良いものは、また後でご説明します。
ケトジェニックダイエット前に用意しておくもの
ケトジェニックダイエットは非常に根拠に基づいた科学的なダイエット法なのですが、その分やり方はいろいろと複雑です。
なのでそれらをサポートするために用意しておいた方が良いものがいくつか存在します。
それらをここからは一つ一つ説明していくのですが、その際に用意するものを2パターンに分類しています。
- 必須準備物
- 出来れば欲しいもの
の2パターンです。
必須準備物は主に短期間でケトーシス化する際に必要なものがほとんどです。
出来れば欲しいものは、あればケトジェニックダイエットを大きく手助けしてくれますが、なくても普通に行う事は出来ます。
必須準備物①:ケトスティック
いきなり耳慣れない単語が出てきましたが、このケトスティックを使う事で体がケトーシスになったかどうかを知ることが出来るのです。
使い方は簡単です。
自分の尿を試験紙に付着させて、その際に変わった色の具合でどのくらいケトン体が発生しているのかが判別できるという代物です。
自分がケトーシスになっているのかどうかをきちんと把握しながら行う事が重要なダイエットなので、導入期だけでも是非使ってみてください。
他にも少々値が張りますが、呼気だけで判別できるケトチェッカーなる商品もあるのでこちらもオススメです。
必須準備物②:MCTオイル
MCTオイルとは中鎖脂肪酸のことをいいます。
分解されやすく、エネルギーとして活用されやすい特徴をもった脂肪だと思って下さい。
詳しくは下記記事参照です。
食事だけで必要な脂質を賄おうとすると非常に難しいので、こうしたサプリメントから摂取する方が絶対に良いです。
普通に脂を摂取すると、胸焼けや下痢を引き起こしてしまいますので。
ただ、MCTオイルも摂取し過ぎは禁物です。
一回あたり10g以下にまでおさえて小分けに摂り、トータルで60g~80g程度を摂取するようにしてください。
また、個人的には液状のオイルは多少扱いが難しいのでマイプロテインなどで販売されているパウダー状のMCTオイルの方がオススメです。
コーヒーや飲み物に加えてもいいですし、食べ物に振りかけるだけでも簡単に摂取する事が出来るので非常に扱いやすいです。
必須準備物③:ビタミンB
ケトジェニックダイエット中もビタミンは非常に重要になります。
ビタミンB6(ピリドキシン)はたんぱく質を分解する手助けをしてくれますし、ビタミンB2(リボフラビン)は脂肪をエネルギーに変えるために必要となります。
必須準備物④:BCAA(もしくはEAA)
先ほども言った通り、ケトーシスに素早く入る為にはケト原生アミノ酸を多めに摂取する必要があります。
以前他の記事で基本的にBCAAはEAAの完全下位互換と紹介したことがあります。
ケトジェニックダイエットにおいてはBCAAにケト原生アミノ酸の「ロイシン」が含まれているということもあり、EAAよりも高い効果が期待出来ます。
もちろん、すでにEAAを持っていてBCAAがないという方は別に買い足す必要はないので、どちらかすでに持っている方を活用しましょう。
特に上マイプロテインのBCAA 4:1:1は、ロイシンが通常のBCAAよりも多く含まれているので最適です。
まだどちらも持っていない方はこちらの商品を購入しましょう。
出来れば欲しいもの①:イヌリン(難消化デキストリン)
さて、ここからはあれば助かるけれども必須ではないものについて紹介していきます。
一つ目がイヌリンor難消化デキストリンになります。
糖質を多く含む食品のほとんどが、同時に食物繊維も多く含んでいます。
なので糖質を制限すると食物繊維不足に陥り便秘になったりすることもあるので、食物繊維の一つでもあるイヌリンをサプリメントとして摂取するようにしましょう。
同様の効果を期待できる難消化デキストリンでもOKです。
出来れば欲しいもの②:αリポ酸
α-リポ酸には抗酸化作用とインスリン感受性を高める効果があります。
ケトン体が多く作られるようになると体急激に酸性に傾いてしまうのですが、それを防ぐ働きがあるという事です。
またインスリン感受性が高まることで脂肪の合成を防ぐ事も期待出来ます。
出来れば欲しいもの③:βヒドロキシ酪酸
βヒドロキシ酪酸は、3つあるケトン体の内の1つです。
つまりダイレクトに摂取する事で、素早くケトーシス状態になってしまおうという事です。
なかなかケトーシスにならない際の最終兵器というところでしょうか。
出来れば欲しいもの④:クレアチン
必須ではないとありますが、ケトジェニックと筋トレを並行して行う方には必須です。
これがないと筋トレのパフォーマンスは著しく低下してしまいます。
出来れば欲しいもの⑤:リジン
ケト原生アミノ酸の1つである「リジン」。
BCAAと併用するか、もしくはEAAもBCAAも持っていない方はこちらを購入して使用するのも良いでしょう。
他にもリジンには集中力UPや疲労回復効果も見込めるので無駄にはなりません。
さいごに
以上がケトジェニックダイエットについての全てでした。
仕組みは簡単なのですが、成功に導くためには正しい知識をもって実行しないといけません。
ぜひ皆さんも、この記事を参考にして効率よくダイエットを成功させてください。