筋肉を増やす基本は、トレーニングと食事です。
そして食事において大事なことは「摂取カロリー>消費カロリー」の状態を作り出すことにあります。
以前も筋肉を増やす食事方法として、ダーティーバルクというやり方をご紹介しました。
なので今回は、そのダーティーバルクと対になる食事方法である、リーンバルクについて説明しましょう。
リーンバルクとは、上手く行えば脂肪を付けずに筋肉を増やすことが可能な増量方法になります(lean:ぜい肉がなく引き締まったという意味)。
ダーティーバルクがなんでもかんでも好きなものをたくさん食べて増量するというやり方であったのに対して、リーンバルクのやり方を簡単に説明すると、
- PFCバランスに配慮しながら+500kcal程度に摂取カロリーを収める
- 食事内容は減量食の量を増やしたもの
となります。
以下より詳しい解説です。
リーンバルクのやり方
リーンバルクにおいて配慮すべき点は2つです。
- 食事の総摂取カロリー
- 食事のPFCバランス
この2点をきちんと管理しないと、リーンバルクは失敗に終わってしまいます。
リーンバルクのやり方①:摂取カロリーは消費カロリーの+500kcal
まずは摂取カロリーを考えるまえに、自分が1日に消費するカロリー量を知る必要があります。
以下の記事でも詳しく説明していますが、まずはこちらのサイトに必要な数字を入力して、自分の基礎代謝を調べます。
ここでは簡易的に、算出された基礎代謝は1700kcalだったとします。
ですが基礎代謝は、何もしなくても1日の間に消費するカロリーの事を指します。
これに対して、一日の活動によって消費されるカロリーも加えてあげる必要があります。
ざっくりとした区分けですが、
- 1日中ほぼ座りっぱなしで作業をしている:基礎代謝×1.2
- 上記に加えて軽いスポーツや運動、立ち仕事などを行っている:基礎代謝×1.4
- 力仕事や、かなりハードなトレーニングを日常的に行っている:基礎代謝×1.8
といったやり方で算出します。
なので日常生活においては座位での勉強や仕事が中心で、週3回程度筋トレをしているような人は、基礎代謝×1.4で計算しましょう。
上記の場合では「1700kcal×1.4=2380kcal」という数値が求められます。
これが一日の消費カロリーですね。
そしてリーンバルクにおける摂取カロリーは消費カロリーの+500kcal。
つまり今回の例だと「2380kcal+500kcal=2880kcal」となるので、この2880kcalがリーンバルクにおける上限カロリーとなります。
基本的にはこの2880kcalという数字をオーバーし過ぎないように食事内容をコントロールする必要があるのです。
リーンバルクのやり方②:PFCバランスの考え方について
PFCバランスとは、Protein(タンパク質)、Fat(脂質)、Carbo(炭水化物)という、カロリーを生み出す三大栄養素の頭文字3つを合わせたものであり、つまりは総摂取カロリーにおける栄養素のバランスのことを言います。
それぞれの栄養素が持つカロリーは、
- タンパク質:1gあたり4kcal
- 脂質:1gあたり9kcal
- 炭水化物:1gあたり4kcal
となっております。
その上で、リーンバルクにおけるPFCバランスの配分は、下記のように考えて下さい。
- タンパク質:体重1kgあたり2.2g
- 脂質:総摂取カロリーの2割以下
- 炭水化物:上記を求めた後の不足カロリー分
具体的に数字を当てはめて見て行きましょう。
先ほどの消費カロリーが2880kcalの例で、体重が70kgだったとして考えます。
- タンパク質:70×2.2g=154g=616kcal
- 脂質:2880kcal×0.2=576kcal=64g
- 炭水化物:2880kcal-616kcal-576kcal=1688kcal=422g
といった形でそれぞれの摂取すべきカロリー量が分かります。
摂取するカロリーをどれだけコントロールしていたとしても、このPFCバランスがきちんと考えられていないと脂肪をつけずに筋肉を増やすことは難しくなってしまうので要注意です。
リーンバルクの食事方法とは
実は、リーンバルクの食事内容は減量の際の食事とほとんど変わりません。
減量の際は「摂取カロリー<消費カロリー」であったものが、リーンバルク時は「摂取カロリー>消費カロリー」となるので、単純に食べる量が増えるイメージですね。
下記より、タンパク質、脂質、炭水化物を摂取するためのおすすめ食材をいくつか紹介しておきます。
リーンバルクの食事:タンパク質編
タンパク質はそこまで気にする必要はありません。
ポイントはこちらの3点です。
- 牛・豚・鶏などの肉類をバランスよく摂取する(脂身の多いものや加工肉は避ける)
- 魚類は青魚やサーモンなどをメインに
- 食事の合間にプロテインも摂取する
脂身の多い赤身肉や加工肉は、食べ過ぎると健康面でも悪影響があるのでなるべく控えめに。
青魚やサーモンは後述しますが、良質な脂質源にもなるのでオススメです。
また、小食の方は特に、プロテインをタンパク質源として利用するようにしてください。
糖質も豊富に含まれている、下記の商品なんかはおすすめです。
リーンバルクの食事:脂質源
リーンバルクにおいて最も気を付けなければいけないのがこちらの脂質の含まれる食品です。
なにも考えずに制限範囲内だからといって脂質を摂っていると、それが原因でリーンバルクに失敗してしまうなんてことも十分あり得ます。
気を付けるべきポイントはこちらです。
- 魚類、アボカド、ナッツ、オリーブオイルなどの良質な脂質を摂るようにする
- サラダ油、ごま油などは控えるようにする
良質な脂質というのはEPA・DHAなどに代表されるオメガ3脂肪酸や、オリーブオイルなどのリノール酸、もしくはココナッツオイルが代表的な中鎖脂肪酸(MCT)などが該当します。
料理などに使われるサラダ油やごま油は、体に溜まりやすく脂肪になりやすい脂質なので、リーンバルク中は出来る限り控えるようにしましょう。
脂質についての詳しい解説は下記の記事をご覧ください。
それすら面倒な人は、脂質を極力カットして、サプリメントから主に摂るようにするという方法もありです。
その場合は下記の2つをオススメします。
リーンバルクの食事:炭水化物編
炭水化物もタンパク質と同じく、そこまで内容を気にする必要はありません。
むしろ必要な量を必要なだけ摂ることを気を付けましょう。
ポイントは下記2点です。
- GI値はそこまで気にしなくてOK
- 単糖類ではなく、多糖類(でんぷん質)の炭水化物を摂取する
GI値とは、グリセリンインデックス値のことをいい、食後の血糖値の上昇度合いのことを表す指標です。
基本的にGI値が低い食品ほど、食後の血糖値の上昇が穏やかで、脂肪になりにくい食品と言われています。
ただ、減量中は気にした方がいいですが、あくまで増量目的のリーンバルク中はGI値はそこまで気にしなくても大丈夫です。
それよりも、単糖類の炭水化物を控えることを意識して下さい。
単糖類の炭水化物とは、分かりやすいものだと砂糖などです。
砂糖をとり過ぎるとさすがに脂肪がつきやすくなってしまいますので。
逆に多糖類の食品というのは、お米や小麦食品、麺類、イモ類などを指しますので、これらの食品から上手く炭水化物を摂るようにしましょう。
リーンバルクのメリット・デメリットについて
リーンバルクの中身について理解したところで、次はメリット・デメリットについても解説します。
リーンバルクのメリット
- その後の減量が楽になる
- バランスの良い食生活になるので、健康面への悪影響が小さい
- 常にカッコいい体を維持できる
減量が楽になるというのは、リーンバルクが脂肪を極力つけない増量方法であるからになります。
また、ダーティーバルクとは違い、食べるものにも非常に気を配りながら食事をするので、健康面への悪影響は小さいどころか、ビタミン・ミネラルの摂取にまで配慮すれば健康的とも言える食事方法です。
そして、リーンバルクが上手い人だと増量時と減量時の体重差が±5kg以内という人もいるので、いついかなる時でも脂肪がついていない、カッコいい体を保つことができるようになります。
リーンバルクのデメリット
- 食事の楽しみが減る
- カロリー計算が面倒
- 筋肉が増加しにくい人もいる
リーンバルクの最大のデメリットは、食べたいものが食べられなくなってしまうので、食事に対するストレスが半端じゃないところです。
ただでさえ減量時では否が応でも食事内容が制限されるのに、増量時でも好きなものが食べられないのならいつ食べるんだって話ですね。
そういう意味では、リーンバルクはコンテスト競技などに全力を懸けて挑む人向けの増量方法であると言えます。
あとはこれも減量時と同じくなのですが、いちいち食事ごとにカロリーを計算するのが面倒くさいのもデメリットの1つです。
そして、人によっては、リーンバルクでは筋肉量の増加があまり実感できないという方もいます。
そういう人は、あらためて1日の摂取カロリーのバランスを見直してみて、それでも変わらないようなら食事回数を増やして、1回あたりに摂取する量を減らすようにしてみてください。
原因として、食べたものがうまく吸収しきれていない可能性が考えられます。
リーンバルク中にあると便利なサプリメントは?
さいごに必須ではないですが、リーンバルク中にもあると便利なサプリメントをご紹介していきます。
ウェイトゲイナー系プロテイン
途中でも紹介しました、こちらのウェイトゲイナー系のプロテイン。
通常のプロテインと比べてカロリーが高い(糖質が多く含まれている)ので、特に少食な人にはおすすめです。
もちろん、そうでない方は通常のプロテインでもOKです。
マルチビタミン・ミネラル
いついかなる時も必須な、プロテインに並ぶ王道サプリメントはですね。
リーンバルク中でももちろん摂取するようにしてください。
消化酵素
食事の吸収を助けてくれるので、消化酵素は非常におすすめです。
胃もたれなどもしなくなります。
これも少食な人は必ず増量時は一緒に摂取するようにしてみてください。
さいごに
以上がリーンバルクの解説でした。
脂肪をつけずに筋肉をつけるという意味では非常にすぐれた増量方法ではありますが、なにぶん非常に制限の多いやり方になります。
はっきりいって、コンテストや体重制限のあるような競技者ではなければここまでシビアなやり方をする必要はほとんどありません。
あなたの人生において、楽しく食事をする以上の価値のでしたら、ぜひこのリーンバルクを取り入れてみてください。