お酒好きなトレーニーの皆さんには残念なお知らせです。
「アルコールは筋肉に対して悪影響しか及ぼしません」
これは現在点で科学的にも証明されている純然たる事実になります。
”運動後の一杯”を何よりも楽しみにしている人には、かなり酷な話になってしまうかもしれませんね。
しかし、その悪影響をなくすことは出来ませんが、軽減させる方法はいくつか存在します。
その方法は、下記の2つです。
- 筋トレ後の48時間はさけて、アルコールを摂取する
- アルコールと同時にプロテインを摂取する
それぞれについて詳しく説明していきます。
その①:筋トレ後の48時間はさけて、アルコールを摂取する
なぜ48時間なのかを説明するにはまず、筋肉が増える仕組みについて理解する必要があります。
筋肉は「筋合成>筋分解」の状態になると増える
人間の体の中では常に、筋肉の合成と分解とが繰り返されています。
何もしていない時というのは、筋肉の合成と分解が釣り合っている、つまり「筋合成=筋分解」の状態なので、筋肉は増えもしないし減りもしません。
しかしその筋肉の合成作用と分解作用の均衡が、なんらかの要因で崩れた場合に筋肉量に変化が生じるのです。
- 「筋合成>筋分解」→筋肉は増える
- 「筋合成<筋分解」→筋肉は減る
といった具合です。
筋トレの効果は48時間もの間持続する
昔は筋トレ後の1時間がゴールデンタイムと呼ばれ、このタイミングが最も筋トレの効果が高まる(=筋合成が活発になる)と時間帯とされてきました。
しかし最近の研究では、筋トレ後の筋合成の高まりは、48時間もの間持続することが分かっています。
つまり筋トレの効果を上げるには、この48時間の間にどれだけ適切な栄養を摂取することが出来るかにかかっているのです。
アルコールは筋合成を抑え、筋分解を促す作用がある
これらを踏まえた上で、アルコールの「筋肉の合成・分解」に与える影響は最悪の一言に尽きます。
筋合成を促す酵素として「mTOR」というものが体内には存在しているのですが、まずアルコールはこの「mTOR」を働きを鈍化させます(=筋合成の抑制)。
さらには、細胞内のタンパク質を分解する仕組みである、オートファジーという働きを活発化させる作用まであると言われています(=筋分解の促進)。
つまりは悪影響のダブルパンチです。
アルコールはホルモンにも影響を与える
アルコールが与える悪影響はまだ他にも存在します。
それは、テストステロンの分泌量の低下と、コルチゾールの分泌量の増加です。
それぞれのホルモンはどのような効果を持っているのか説明しましょう。
- テストステロン→筋合成の促進、脂肪の減少など
- コルチゾール→別名ストレスホルモン。筋分解を促進させ、脂肪を増加させる
とまあこちらもひどい有様ですね。
ちなみにですが、ここまで説明してきたアルコールの悪影響は、主に男性の場合を指しています。
というのも、女性は男性に比べて、アルコールが及ぼす悪影響を受けにくいという研究結果があるのです。
酒好きの男性からすると、うらやましい限りですね。
筋トレのパフォーマンを維持するためには、48時間はアルコールを断つべき
このように様々な悪影響を及ぼすアルコールを、せっかくのボーナスタイムである、筋トレ後の48時間に摂取するというのは、極めて非効率な行為です。
なので逆にいうと、どうしても参加しないといけない飲み会などのタイミングが分かっているのなら、飲み会当日と前日は休養日に設定して、筋トレするのは止めておきましょう。
コスパがあまりにも悪いです。
その②:アルコールと同時にプロテインを摂取する
そして、もう一つアルコールの悪影響を抑える方法があります。
それは、プロテインを飲むことです。
プロテインは筋合成を高める効果をもつ
筋トレにプロテインはかかせないものであるというのは、もはや周知の事実でしょう。
そしてそれはなぜかというと、プロテインは筋肉が作られる際に必要な栄養素のほとんどを含んでいるからです。
なので筋トレ後にプロテインを摂取すると、筋合成を作用を高める効果が期待出来ます。
だからこそ、筋合成に悪影響を与えるアルコールと同時にプロテインを摂取することで、その悪影響を相殺し、軽減する事が可能なのです。
プロテインを飲むタイミングはアルコールを摂取する一時間前~同時がベスト
プロテインは体に吸収されるのにだいたい1時間くらいかかります。
なので飲み会の一時間前にプロテインを飲んでおけば、ちょうど血中の栄養が高まった状態でアルコールを取り入れる事になるので、効果を最大限に発揮できます。
一時間前が難しければ、最悪同時でも構いませんが、アルコールの摂取後は体の機能全般が落ちて、吸収機能も上手く働きませんので、あまりオススメできません。
アルコールの量にも気をつける必要がある
筋トレに限らずですが、アルコールのとり過ぎは悪影響を及ぼします。
逆に、一定量以下に抑える事での明確なメリットも存在しています。
体重×0.5gまでならテストステロンは低下しない
体重×0.5gのアルコールというとイメージしづらいかと思いますが、缶ビールでいうと、ロング缶一本には20gのアルコールが含まれています。
なので体重70kgの人ならロング缶一本半までならOK、といった具合です。
アルコールにもカロリーが存在する
実はアルコールには、1gあたり7kcalものカロリーが含まれています。
しかしアルコールのもつカロリーはエンプティカロリーと呼ばれ、体に残らず、すべてがエネルギーとして消費されます。
こう聞くとなんだか良さげに聞こえますが、アルコールを消費する際に使われるエネルギー分だけ、他の栄養素(糖質・脂質・タンパク質)が体に溜まりやすくなる、つまりは脂肪が増える原因になるということです。
なのでダイエット中にアルコールを摂取するというのは、消費カロリーを減らす事と同義なので、特に摂取することをオススメしません。
さいごに
以上がアルコールが筋トレにおよぼす悪影響と、それを最小限に留めるための方法についての解説でした。
そもそも、お酒が体によくはないことなんて、筋トレしている人でもしていない人でも、当然のように分かっていることだと思います。
大事なのはなにごともバランスです。
禁酒をするあまり、ストレスを抱えてしまってはそれはそれで体にも筋肉にも悪いです。
なのであまり神経質になるのではなく、今回ご紹介した方法を利用して適度にたしなむように心がけましょう。